デビッドギア、David Gear's cubeの試し解きを、ようやくですがやってみましょう。スクランブルは前回の通り、2x2x2 の面廻しの直後に同方向に隅歯車も廻す、3回ある 180°回転では 1, 3回目は ++, 2回目は –– で廻すことにしたいと思います。
歯車以外は普通の 2x2x2 として、左図の t (WCA表記で U), e (WCA表記で R), s (WCA表記で F)、中央図の w (WCA表記で L), n (WCA表記で B), b (WCA表記で D)で、それぞれ、反時計廻しをする場合は"-"を本来は肩付きで表記しますが、このブログでは肩付きを利用出来ないのでそのままで示します。できるだけ、WCA表記をカッコ書きか / のあとに併記しようと思います。
歯車の回転については、一面分(120°)時計廻しを "+"、反時計廻しを "–" で表すことにします。e – と e- が全く異なる(一つめが右面時計廻しのあと歯車を反時計廻し、二つ目が右面を反時計廻し)ので、どうぞご注意を。世間ではこの隅歯車回転を、時計廻しは G、反時計廻しは G' で表しているようです。
U' R U2 R' U' R' U2 F R' F U2
を流用した、
U' – R + U2 ++ R' – U' – R' – U2 –– F + R' – F + U2 ++
でやってみましょう。右下にあるのは前回お話ししたとおり、背面を前から透視した図です。x' y2 で持ち替えて、
つまり初期状態で隅歯車の向きは合っています。…意外と合ってないことは少なく、先週のTORIBO コンテスト 2x2x2 を流用したスクランブルでは、合っていないのはその3だけでした。
ですので、普通に 2x2x2 として隅歯車を揃えてしまいます。
t2 ・ b e2 t- e ・e2 t w2(上下棒)・y- ・e b- e n2 e- b e- (上対角下前)・t2
/ U2 (D R2 U' R)(R2 U L2) y- (R D' R B2 R' D R') U2
ですね。
この時点で合っている面歯車が、青2, 赤2, 白1、とかなりのラッキー状態なのが分かります。本来、6面x4 = 24 を合わせなければならないのですから。
さらに、クロス平行 (t- + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t2 / (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 U2 で黄2, 橙1 までいきなり揃います。揃えて x 持ち替えで
二面交換昇りで青が一つ揃いますが、交換で上面に上がった黄の処理に困ります。この黄は青面から直接移動させた方が良いでしょう。ですので、y' (t+ + t- –) e2 (+ t – t-) e2 (面内交換) y / y' (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 y で退避させてから、
二面交換昇り
– t- e t2 (+ t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e- t + / G' U' R U2 (G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R' U G
で以下の通りになります。
z' 持ち替えで二面交換降り
t- e t2 (+ t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e- t / U' R U2 (G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R' U
で
y' 持ち替えに面歯車反時計廻し ––– (G' G' G)で
またも二面交換降り
t- e t2 (+ t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e- t / U' R U2 (G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R' U
ついでに、z' 持ち替えでさらに二面交換降りを廻して、
だいぶ揃ってきましたね。どうも判断に迷うのが一番時間を喰うようなので、入れやすい二面交換があればどんどん入れていくようにしています。
z2 持ち替えをして、y' (t+ + t- –) e2 (+ t – t-) e2 (面内交換) y / y' (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 y のあとに二面交換昇り・降りを連続して行い、さらに +++ (G G G ) で面時計廻しの後さらに二面交換昇りを廻すと、
緑が一気に 3つ揃いました。現在はこれ以上効果的な手順は発見されていないので、手間を惜しまず、どんどん二面交換で揃えていってしまうのが速さに貢献してくれそうです。
緑面の橙と橙面の緑を交換したいのですが、このままでは位置が悪いですね。x 持ち替えの後、前上・右下交換
(手順としては上前下対角 二四平行 上前下対角)
e- t e- n2 e t- e { w (t- + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t2 w- } e- t e- n2 e t- e
/ R' U R' B2 R U' R { L (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 U2 L' } R' U R' B2 R U' R
で緑面の緑・橙を交換して、
x y' 持ち替えの後に二面交換降り
t- e t2 (+ t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e- t / U' R U2 (G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R' U
で、
ここまで揃ってきました。
なんとなくですが、右面前上・左面前下を前面と交換する三面交換を廻してみたいですね。そのためには左右の白面の橙を面内交換したあと、全面の左列の赤橙を交換したくなりますね。それは z 持ち替えの後、前上・右下交換(手順としては上前下対角 二四平行 上前下対角)を実行して z' 持ち替えで戻せばできますね。
となるので、三面交換手順
e2 (t2 + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e2 / R2 (U2 G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R2
を廻しましょう。
これはラッキーですね。x' 持ち替えして、
左右上奥交換(右一左四&前下交換, 手順としては、上下前 一三平行 上下前)
e2 t- e2 t-2 s2 t- e2 { e (t- + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t2 e- } e2 t- e2 t-2 s2 t- e2
/ R2 U' R2 U'2 F2 U' R2 { R (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 U2 R' } R2 U' R2 U'2 F2 U' R2
で完成です。以前はこの手順は下前で共役していました。上前の二隅が移動に関連していないのでこちらでも構わないことが分かりましたが、上下前の方が絶対的に廻しやすく、トラブルも少ないですね。
似たような手順しか用いていないことがお分かりでしょう。ただ、多少の工夫が判断できれば、より効率よく合わせていけると思います。
初期状態では隅歯車が揃わない例もやってみましょう。先週の TORIBO コンテスト 2x2x2 その3
U2 R U' F U2 F' R U2 R F' R'
を流用した、
U2 ++ R + U' – F + U2 –– F' – R + U2 ++ R + F' – R' –
では、t- z (U' z) で
となり、このパズルでは赤の対面色は白なので(黄の対面色が橙、青−緑の関係は維持されています)、右上前の白の向きがおかしいことが分かります。上面の右前・左前・左奥の 3つは本来は全て反時計廻しで上面に向かなくてはなりません。なので、”向きが合ってない面がさらに合わない向きになるように”、つまり隅歯車を+ (G) で時計廻しして、
の状態から始めましょう。x2 で黄橙が Guimond の右奥・対角降りになっているのが分かります。
e- t- e (R' U' R) のあと、t2 (U2) で奥右左 e2 b- e2 (R2 D' R2)、y' 持ち替えと t2 (U2) の後、上下前、e2 t- e2 t-2 s2 t- e2 (R2 U' R2 U'2 F2 U' R2) に t- (U') で隅歯車を完成させ、
青がいい位置にあるので、せっかくなので e + e- – (R G R' G') で下面の青を、+ (e + e- –) – (G R G R' G' G') で上面の青をそれぞれ揃えてしまいましょう。こういうのが判断できるとお得ですが、いいスクランブルではそこそこ面歯車も揃ってしまっていて、左右面以外を崩すこのような手順は使いにくいことが多いですね。せっかくなので白も y のあと + e – e- (G R G' R') で一つ揃えてしまいましょう。
z y' して二面交換昇りで黄青、y x して左右上奥交換で黄橙、面内交換後に y して二面交換昇りで白の 3つめが入り、
z' して +++ (G G G) のあとに二面交換昇りで青面が揃い、x して
ここで、右前上-左前下交換(右四左二&前対角交換, 手順としては、下前 三面 下前)

e s- e n2 e- s e n2 e2 { e2 (t2 + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t- e2 } e s- e n2 e- s e n2 e2
/ R F' R B2 R' F R B2 R2 { R2 (U2 G U' G') R2 (G U G' U') R2 U' R2 } R F' R B2 R' F R B2 R2
で白面も揃います。二面交換昇りで橙緑を揃えてから 前上・右下交換をし、

y 面内交換 (t + t- –) e2 (+ t – t-) e2 / (U G U' G') R2 (G U G' U') R2 y' x 二面交換昇りで緑 3つめ、 y 面内交換 y' z' 二面交換降りで赤黄まで揃います。– – – (G' G' G') で残った 3つの位置をずらしましょう。
残るは 3つ、左面下段に 2つ、右面前下に 1つを揃えます。e- s- t2 e2 (R' F' U2 R2) でいかがでしょう?
左下・右前下三点移動
の逆手順となるので、手順としては 一三平行 上前下対角 一三平行 上前下対角、
[{e (t- + t- –) e2 (+ t – t-) e2 t2 e- } e- t e- n2 e t- e]^2
/ [{R (U' G U' G') R2 (G U G' U') R2 U2 R' } R' U R' B2 R U' R]x2
最後は位置合わせの逆手順、e2 t2 s e (R2 U2 F R) で完成です。