2021年04月30日

J式444その10:上面試し

J式4x4x4 で試し解きをしていなかったのでやってみましょう。上面以外は一般的な解法と変わらないので、エッジペアリングが終わったところから試してみます。

恐れ多くも、世界王者 セバスチャン=ワイヤー Sebastian Weyer が 2018年の平均世界記録 22.27秒を打ち立てたときの最遅だった第4試技、カットされた 29.14秒のものを取り上げます。絶好調の世界王者ですら、ダブルパリティーがあれば大変だという良い例ですね。CubeSolves にはこれらの様々な記録を掲載してくれていて、本当に有り難いと思います。

いちおう、いつもの J式回転記号について再掲しておきます。

444notationNormal.jpg
その面を正面に持って時計方向に 90°廻すことを基本とし、反時計方向に回す場合は "–" を、180°回転では "2" を添えます。

内層を廻す場合は j を、外層と内層を同時に廻す場合は & を添えます。
444notationInner.jpg

併せて示す WCA表記では内層回しは小文字で、複数層廻しは w を添える表記を用います。反時計廻しは " ' "で示します。

中層廻しは、傀儡魔方2で用意した物を用います。WCA表記の M が m、E が q となります。
444notationMiddle.jpg
WCA表記の S は傀儡魔方2 で p で示しましたが、4x4x4 では J式では使わないので示していません。

一応、スクランブルも載せておきましょう。そのサイトでは二層廻しを小文字表記していますが、w を添える形に直しておきます。

L' U2 R2 F' U R' U2 R' U2 D' B L2 R2 U2 B D2 B2 L2 F' D2 R2 Rw2 F' U2 Rw2 D F' U2 Fw2 B' Rw2 U' B Rw' B U L2 U2 Fw' R2 U Rw2 Uw' L Uw' Rw2

エッジペアリングまで済ませた王者は以下をこのように解いています。三層廻しは "Rt" で、内層回しを小文字(J式の Rj を r)で表記するように書き換えました。

U Rw U2 x Rw U2 Rw U2' Rw' U2 Lw U2 Rw' U2' Rw U2 Rw' U2' Rw' // Oparity
U Rt U' Rt' U' L U F U' L' // OLL
U Uw2 Rw2 U2 r2 U2 Rw2 Uw2  // Pparity
R U R' U' R' F R2 U' R' U' R U R' F' U' // PLL

逆スクランブルして、t (U) すると以下の通りになります。右側は上面奥が見えるようにしたものです。
試し1Weyer18d1a.jpg試し1Weyer18d1b.jpg

J式はここから CLL の aS+、n t2 n– t2 n– e n e– (B U2 B' U2 B' R B R') を廻します。その後、t– (U') で
試し1Weyer18d2a.jpg試し1Weyer18d2b.jpg
となります。

四辺反時計 WSE上げ、ダブルパリティーが確定していますが、緑と赤だけに着目すれば、三角反w–始で揃います。
(w– e) n– (w e–) t2 (w– e) n– (w e–) / (L' R) B' (L R') U2 (L' R) B' (L R')

y2 で持ち替えて、
試し1Weyer18d3a'.jpg
ES隣辺交換E上げですね。ES隣辺交換S上げの逆手順を廻します。

e n {ej2 n2 (ej– t2 ej– t2 n2 ej– n2 ej n2 ej) n2 ej2} n e–
/ R B {r2 B2 (r' U2 r' U2 B2 r' B2 r B2 r) B2 r2} B R'

世界王者の 51手に対して、J式は 8+1+11+18=38手、現実的には私が aS+ の 8手を廻している間に王者はその 51手を廻すでしょうけど、ネタとしては悪くない気がします。


スクランブルは、やはり二層廻しを w を添える形に直して

D2 B' R2 F D2 L2 F2 B' U2 R' F2 R U R2 L2 B L D' R L' Fw2 L Uw2 R' D U' R D' Fw2 R' F2 D L Fw' R2 Fw2 F' Rw2 Uw L2 Fw Rw B D R

エッジペアリングまで終えた王者は以下のように上面を揃えました。内層回しを小文字で、三層廻しを t を添えて示すのも上記と同様です。

Rt' U2 R U R' U' R U R' U Rt // OLL
Uw2 Rw2 U2 r2 U2 Rw2 Uw2 // Pparity
U R U R' F' R U R' U' R' F R2 U' R' U' // PLL

これを逆スクランブルすると以下のようになります。
試し2Weyer17a0a.jpg試し2Weyer17a0b.jpg
t– (U') して H–、s– w s w– t2 s2 e– s– e s– / F' L F L' U2 F2 R' F' R F' を廻すと
試し2Weyer17a1a.jpg試し2Weyer17a1b.jpg

あらら、これは持ち替えなしで鼓平ですね。横は左から右、縦は前から奥へと移動させる向きに統一した手順にしています。

m2 t m– t2 m t wj2 t2 ej2 t&2 ej2 tj2
/ M2 U M' U2 M U l2 U2 r2 Uw2 r2 u2

最後に t (U) で合わせて完成です。

王者の 33手に対して 1+10+12+1=24手、比べるのは現実的ではありませんが、まぁ J式なら手順が短縮できる場合もある程度に思っていただければ充分です。

負担にならない範囲で(目隠し競技の 818個とか理解できません)、手順を取りそろえておくのは悪くないことかもしれないと思っています。

posted by じゅうべい at 12:16| Comment(0) | 444〜

2021年04月23日

J式444その9:F2L〜上面、特に ELL

J式4x4x4 の続き、辺の組み合わせ(エッジペアリング, Last 8 Edge, L8E とも)まで済んだら、あとは 3x3x3 として解けます。

J式 F2L についてはこちらをご覧ください。3x3x3 と 4x4x4 は廻す感触が違うので、別の修練が必要です。

手順について、以前用意していたのは WCA表記だけでした。J式表記を用意しようとしましたが、時間がかかるのでまた次回に。

J式4x4x4 は 3x3x3 と同様に、上面を CLL (Corners of Last Layer)→ELL (Edges of Last Layer) で解きます。CLL についてはこちらをご覧ください。表記が WCA式のみで、直には手順を載せていなかったことに驚きました。A, U, T, L, S, aS, H, Pi の 8種類にそれぞれ 0, –, +, 2, 1, = が存在しますが、H は 2種類少なく、A が A0 と A1 しかないので、8x6–6 = 42種類、T= も U= で代用できるので、41種類覚えれば良く、OLL の 57種類よりも少なくてすむのでお得です。…表には余分なものも含まれていますが。

ということで最後は ELL です。
J式で 4x4x4 を始めたときには「444 ELL はパリティーを組み込んで廻すから 1 look、その一点だけでも世間よりアドバンテージがある!」と意気込んだのですが…。444 ELL 全手順を紹介してくれている人など世間には存在しません。そりゃそうですよね。

「なら自分で作ってやる!」と思いもしましたが、リストアップしてあまりに膨大になるので諦めました。作ったところで覚えられなければ意味がありません。そもそも、手順探索プログラムを組む時間がありませんでした。

ということで、すみません、J式 4x4x4 ELL は 2 look です。

4x4x4 について、揃えたことがない方から 5分を切りたい程度の方まで向けになっています。

いちおう、いつもの J式回転記号について再掲しておきます。

444notationNormal.jpg
その面を正面に持って時計方向に 90°廻すことを基本とし、反時計方向に回す場合は "–" を、180°回転では "2" を添えます。

内層を廻す場合は j を、外層と内層を同時に廻す場合は & を添えます。
444notationInner.jpg

併せて示す WCA表記では内層回しは小文字で、複数層廻しは w を添える表記を用います。反時計廻しは " ' "で示します。

中層廻しは、傀儡魔方2で用意した物を用います。WCA表記の M が m、E が q となります。
444notationMiddle.jpg
WCA表記の S は傀儡魔方2 で p で示しましたが、4x4x4 では J式では使わないので示していません。

ELL の基本的なものは 3x3x3 と変わりません。こちらをご覧ください。全30種類、PLL 21種類よりは多いのですが、ここまできたら慣れと意欲ですね。

パリティー手順については、Speedsolving.com Wiki の 4x4x4 parity algorithms から、私が廻しやすいと感じた手順を選んで使っています。最初に J式表記、段を変えて / のあとに WCA表記も併記しました。

移動なし:S上げ
その場S上げ.jpg
e&2 n2 t2 wj t2 ej– t2 ej t2 s2 ej s2 wj– n2 e&2
/ Rw2 B2 U2 l U2 r' U2 r U2 F2 r F2 l' B2 Rw2

移動なし:SEN上げ
その場SEN上げ.jpg
e2 b– wj b2 ej– n2 ej– b2 wj2 b2 s2 ej– n2 ej s2 ej2 b– e2
/ R2 D' l D2 r' B2 r' D2 l2 D2 F2 r' B2 r F2 r2 D' R2

SN交換:平(向き替えなし)
対辺SN交換_平.jpg
ej2 t2 ej2 t&2 ej2 tj2
/ r2 U2 r2 Uw2 r2 u2

SN交換:両上げ
対辺SN交換_両上げ.jpg
(s ej t– e t– w& t2 e& t2) ej2 (t2 e&– t2 w&– t e– t ej– s–)
/ (F r U' R U' Lw U2 Rw U2) r2 (U2 Rw' U2 Lw' U R' U r' F')

SN交換:S上げ
対辺SN交換S上げ.jpg
(ej n2 ej– t2 ej t2 ej–) s2 (w& n2 wj n2 w&– n2) s2
/ (r B2 r' U2 r U2 r') F2 (Lw B2 l B2 Lw' B2) F2
SN交換:SEN上げ
対辺SN交換SEN上げ.jpg
tj2 sj– t– sj2 w&2 t2 sj– t2 n2 w&2 sj2 t– sj tj2 w&2 n2 w&2
/ u2 f' U' f2 Lw2 U2 f' U2 B2 Lw2 f2 U' f u2 Lw2 B2 Lw2

SE交換:平(向き替えなし)
隣辺SE交換_平.jpg
(s2 t e&2 t2 s2) ej2 (s2 t2 e&2 t– s2)
/ (F2 U Rw2 U2 F2) r2 (F2 U2 Rw2 U' F2)

SE交換:両上げ
隣辺SE交換_両上げ.jpg
(e n) ej2 t2 ej2 t&2 ej2 tj2 (n– e–)
/ (R B) r2 U2 r2 Uw2 r2 u2 (B' R')

SE交換:S上げ
隣辺SE交換S上げ.jpg
e n– {ej2 n2 (ej n2 ej– n2 ej n2 t2 ej t2 ej) n2 ej2} n– e–
/ R B' {r2 B2 (r B2 r' B2 r B2 U2 r U2 r) B2 r2} B' R'

鼓(S→N, W→E の座標軸の向きに移動):平(向き替えなし)
鼓_平.jpg
m2 t m– t2 m t wj2 t2 ej2 t&2 ej2 tj2
/ M2 U M' U2 M U l2 U2 r2 Uw2 r2 u2

鼓:全上げ
鼓_全上げ.jpg
(m2 t–)(ej– q2 wj q2)^3 (t m2)
/ (M2 U')(r' E2 l E2)x3 (U M2)

四辺時計移動・反時計移動は、判断が面倒で用いていません。三角正・三角反のあと隣辺ES交換などで対応した方がよっぽど辺の向き替えで融通が利きます。

隣辺交換も対辺交換も S上げだけでは対応できないことも多いのですが、奇数個の辺を上げるときには S上げを使って、残りの辺の向き替えは ELL 手順でどうにかします。

鼓も、隣辺交換や対辺交換→ELL で対応できますが、スクエア1で慣れていたら判断はできるので、ついつい廻してしまいます。ただ、赤道回転(q, WCA表記で E)は廻し慣れていないぶんミスが多く、よく崩壊を生み出しているので、四辺全てが反転していることは少ないですし、どうせ二手順を踏むのであれば、鼓・平→ELL で済ませてしまうことも多いですね。

対辺交換N上げや隣辺交換E上げは S上げの逆手順を廻します。ちょくちょく発生するので、覚えて悪くないと思います。

これらの手順を駆使すれば、4x4x4 も 5分以下で解くことができるでしょう、ってそれなら普通の解き方で解いた方が良いでしょうね。まぁ、こんな世界もあるので、気が向いたら試してみていただければと思います。

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posted by じゅうべい at 12:29| Comment(0) | 444〜

2021年04月20日

J式444その8:Yau method の特殊例

J式4x4x4 の続き、Yau method のエッジペアリング(Last 8 Edge, L8E とも)の特殊な場合についてです。…と思ったのですが、特別な内容は用意できませんでした。基本的に 4×4×4 Yau method 甘やかし編 の解法を踏襲します。高度な内容については さむぶろぐ4×4 Yau method エッジ上級編(とおまけ) をご覧いただけたらと思います。

4x4x4 について、揃えたことがない方から 5分を切りたい程度の方まで向けになっています。

いちおう、いつもの J式回転記号について再掲しておきます。

444notationNormal.jpg
その面を正面に持って時計方向に 90°廻すことを基本とし、反時計方向に回す場合は "–" を、180°回転では "2" を添えます。

内層を廻す場合は j を、外層と内層を同時に廻す場合は & を添えます。
444notationInner.jpg

併せて示す WCA表記では内層回しは小文字で、複数層廻しは w を添える表記を用います。反時計廻しは " ' "で示します。

配色は日本配色の青クロスです。世間の多数を占める世界配色の方々は黄と青を入れ替えてお読みください。白は分かりにくいかと思い、灰色で示しています。

さて、L8E のエッジ合わせを始めるときには、すでに組になっているものは上面に逃がしてから Yau の手順を始めます。t&– (Uw') ですね。

早くも 3つ以上組ができあがっていたら、後半手順をいきなり始められます。
4Yau3-2.jpg
この状態から、t&– (Uw') すれば黄白(図では白は灰色表示)が合います。

一つ目と二つ目が同じ小片の組み合わせである場合は
4YauS#2parallel.jpg
諦めてその辺は上面に追いだして、別の“合っていない辺”をそれぞれに入れて、やり直しましょう。「あっ」と思っていきなり前面二辺平行交換手順や二辺対角手順を廻してしまうとクロスエッジが浮いてしまうので一騒動となります。これらの手順は最後の二辺になったときに取っておきたいですね。

ちなみに、二辺平行手順
4YauEdgeParallel.jpg
b& e s– t e– s b&– / Dw R F' U R' F Dw'
はクロスエッジが浮き上がるので、その直後に s w s– (F L F') を廻すところまでセットで覚えておきましょう。

二辺交換手順
4YauEdgeDiagonal.jpg
w2 b&2 e s– t e– s b&2 / L2 Dw2 R F' U R' F Dw2
のあとは
t– w n w (U' L B L) でクロスエッジが戻せます。こちらもセットで覚えておきましょう。

1つめの組み合わせの下の小片が 3つめの組み合わせの上に来た場合、
4YauS#3Cycle.jpg
t& (Uw) で辺を二つ揃えてしまっていいと思います。悩むのは時間の無駄、というかタイムロスにつながるので。5x5x5 以上の多分割では Yau 後半の前面での合わせばかりを繰り返すそうです。この特殊例でも同様に、合う二辺だけ合わせて、残りは前面合わせ〜二辺合わせだけで揃えてしまって良いと思います。…上級者がどう処理しているかは分かりません。私も経験が少なく、ちゃんとしたことを書けないのは申し訳ありません。

その他、様々な状況が発生しますが、臨機応変に対応していくしかありません。というか、いろいろやっていればどうにか揃います。

辺(エッジ)の組み合わせが揃ったら、あとはもう 3x3x3 と同様に解けますね。これがリダクション(段数減らし)解法の良さです。これが開発される以前はどのように揃えていたのか、想像するだけでゾッとします。K4 method なども見たことはありましたが、ちょっと試しただけで、理解するには至っていません。普通の人は普通にリダクションで解くので良いと思いますが、試してみたい方はぜひどうぞ。

posted by じゅうべい at 16:10| Comment(0) | 444〜