2024年11月28日

ピラミンクスの超初心者向け解法

先月、娘の小学校の授業参観がありました。終わった後、娘とそのクラスメートと話していたときに、教室のおもちゃ箱?に 2x2x2 とピラミンクスがおいてあるのを見せてもらいました。…3x3x3 は壊れて修理中だそうです。

娘は 2x2x2 は解けるようになっていたのでその場で解いてくれていました。ですが、ピラミンクスについては「どうしたらいいか分からない」、そうでしょうねぇ、ぜんぜん形も回転も違いますから。

ピラミンクスの解法については、かつていろいろリストアップしましたが、現在見ることができるのは、立方体の迷宮kemi さんのサイトJaap氏のサイトからさわさんの Top first methodBeginner's Polish V の動画東北大学のサイトくらいのようです。あとはエゲレス語を気にしないのであれば、Ruwix が見やすく分かりやすく、Speedcube.com.au も動画付きで、短くまとまっていました。

ただ、娘は二辺向き替えすら廻そうとしてくれません。スーネ(Sune) も ニクラス(Niklas) も覚えてくれたので、手順を覚える気がないわけではないとも思いますが、”まず手順を示される”という、押しつけられた漢字が嫌なのかもしれません。

で、私もいろいろといじってみたのですが…、”出迎え だけで揃うじゃん”ということに気付きました。子どもって、習得した技術を繰り返すことは苦にしないのですね。教えてみたら、手間が掛かることは一切気にせず、廻し続けて、揃えられるようになりました。

試しにやってみましょう。スクランブルは先週のトリコンのその1、

L' R L' B' R' B R U R' U' B l' b

に、せっかくなので u' r も加えてみました。ピラミンクスの回転記号については、こちらの kemi さんのサイトをご覧下さい。
PyraEasy1_scr.jpg

底面を見やすい向きに、とこの向きにしてしまいましたが、結局は底面を下向きで解いてしまいました。どうぞご容赦を。

単独で廻る小さな三角錐を頂、それに隣接する部分を隅、稜線の中央にある二色の小片を辺と呼びます。

まずは頂を隅に合わせましょう。これは考えずにできると思います。
PyraEasy1a_summit.jpgPyraEasy2_summit.jpg

続いて、隅も三つとも同じ向きになるように向けましょう。二つが合っても三つ目を合わせられない場合は別の向きに向けてみましょう。

この場合は、左隅を前から奥へ、奥隅を左から右に廻すと揃いますね。
PyraEasy2a_corner.jpgPyraEasy3_corner.jpg

たまたまですが、底面に黄が揃いました。辺も底面に入れていきましょう。黄を入れる箇所は三箇所あるので、黄でない色が並んでいる稜線に入れるように気をつけましょう。

入れ方は 出迎え と同様で、避けて→ 迎えに行って→ 合わせて→ 戻す、が一連の手順となります。ただ、ピラミンクスではすでに最初の”避けて”ができしまっている場合が多いですね。

この場合も、まず黄赤を入れてみます。すでに避けられているので、奥を左から右に廻して迎えに行って
PyraEasy4_edge1a.jpg

上を反時計廻しして合わせて(矢印が見にくくてすみません)、
PyraEasy4_edge1b.jpg

奥を右から奥に廻しして戻します。
PyraEasy4_edge1c.jpg

これで黄赤の辺が入りました。続いて黄青、これも前を右から左に廻して迎えに行き、
PyraEasy4_edge1d.jpg

上を時計廻しして合わせて、
PyraEasy4_edge1e.jpg

前を左から右に廻して戻します。
PyraEasy4_edge1f.jpg

最後の黄緑も、前を左→右で迎え、上時計廻しで合わせ、前を右→左で戻します。
PyraEasy4_edge1g.jpgPyraEasy4_edge1h.jpgPyraEasy4_edge1i.jpg

上面を反時計廻しして、
PyraEasy4_edge1j.jpgPyraEasy4_edge1k.jpg

青・赤・緑の隅も揃いました。

一般的な解法では、ここで様々な手順を紹介し始めますが…、この解法では持ち替えます。青面を下にしてみましょう。
PyraEasy5_edge2a.jpg

青緑の辺がありますね。これを底面に入れます。今回は“避ける”が必要になりました。上図のように上面を時計廻しして避けて、
PyraEasy5_edge2b.jpg

あとはいつも通り、左を手前に回して迎えに行き、上面を反時計廻しして合わせ、左を前から奥に廻して戻します。
PyraEasy5_edge2c.jpgPyraEasy5_edge2d.jpgPyraEasy5_edge2e.jpg

今度は青赤、上の右の図のように上面を時計廻しして避けてから、前を左→右で迎え、上を反時計廻しで合わせ、前を戻します。
PyraEasy5_edge2f.jpgPyraEasy5_edge2g.jpgPyraEasy5_edge2h.jpgPyraEasy5_edge2i.jpg

あらら、また黄が崩れてしまいましたね。また黄を下面に持ち替えて、
PyraEasy6_edge3a.jpg

まずは黄赤の辺を、避けて、迎えに行って、合わせて、戻します。
PyraEasy6_edge3b.jpgPyraEasy6_edge3c.jpgPyraEasy6_edge3d.jpgPyraEasy6_edge3e.jpg

続いて黄緑の辺、これも迎えに行って、合わせて、戻します。
PyraEasy6_edge3f.jpgPyraEasy6_edge3g.jpgPyraEasy6_edge3h.jpg

あとは上を反時計廻ししたら完成です。
PyraEasy6_edge3i.jpg

合わせる面は、今回の黄→青→黄にこだわる必要はなく、どの面を用いても構いません。

もっと簡単に揃う場合も多いでしょうし、これ以上の手順が必要になることも多いでしょう。

ですが、この方法なら使う手順は出迎えのみ。これらのパズルを解く上で、感覚的に理解しやすい手順だと思います。

実際、娘もこの方法でピラミンクスを揃えられるようになりました。崩してもすぐに戻してしまいます。分かってしまえば、2x2x2 より取っつきやすいパズルかもしれません。

もちろん、このピラミンクスを高速で解くのなら、様々な技法を駆使した上で、さらに指と判断の修練が必要になることでしょう。ただ、“解けた!”という実感を味わえることは、子どもだけでなく、大人にとっても貴重な体験になると思います。

分かってしまえば気軽に解けるこのパズル、ぜひ多くの人に楽しんでもらえればと思います。

posted by じゅうべい at 13:16| Comment(0) | ピラミンクス

2023年08月24日

ペンローズピラミンクスの紹介

前回の記事で、コメントを頂いたことを紹介した中国の jjuudydy さんからさらにコメントを頂いてしまいました。今度は日本語に訳されているので(お手数をおかけします)、文字化けがなくて、読みやすくて良かったです。

それにしても、Super Z, 2x2x2&Skewb購入した記事についてのコメントで紹介されていた、正六面体転角転面魔方解法彙總、つまり、2x2x2 および 3x3x3 にスキューブやダイノキューブのような、隅を軸とする回転も加えられたパズルの手順について、これでもか、というくらいに図説されていました。彙總で”まとめ”だそうです。いや、本当にすごいですね。「どこで売ってるの?」という世界ですが、そのうちの Compy Cube については TwistyPuzzle.com という、この手のパズルがこれでもかというくらい博物館的に紹介されているサイトにあることが示されていました。すさまじすぎて、もうついていけません。

この博物館サイトで紹介されているパズルで一番すさまじいのは、やはり 1x2x50 でしょう。作成された実物の画像があるだけでもびっくりです。その作成者は Grégoire Pfennig さん、ああ、33x33x33 を作っちゃった人ですね。コンピューターでの設計の様子も興味深く、製作(何か鍋で煮ていました)と組み立て作業の様子も面白かったです。パーツ数が 6153個、廻すだけでも大変そうでした。ギネス記録としての認定員が来ている場面には「あ、本当にギネス認定されたんだな」と納得しました。本当に世界にはすさまじい人がいろいろいることを改めて実感させられますね。

さて、ペンローズキューブと一緒にペンローズピラミンクス、tribox では Rounded Pyramid という名称で売られているパズルも購入していました。
PenrosePyraminx_wBox.JPG

箱には”円角金字塔 黒麒麟”とありますね。ピラミンクスの回転記号でいう R を廻すと、

RoundedPyramid_e-.JPG
となります。

カチカチいいながら廻りますが、回転はとてもスムーズです。

ただ、このパズルはペンローズキューブと違って「パリティーを工夫して解く」楽しさが感じられなかったのが残念でした。普通にピラミンクスとして、V字→ L4E で解けてしまうのです。

たとえば、先週のトリコンのピラミンクスのスクランブルその1:

L B R L R' L B U B' L U' r' b
PenrosePyraminx_Scr23L07a.JPG

ピラミンクスの J式回転記号を再掲しますが、
Pyra_notation.jpg
(WCA表記ならそれぞれ、n→B, e→R, w→L, t→U)

頂点を直した後は、n- w n w- n- (B' L B L' B') で
PenrosePyraminx_Scr23L07a2.JPG

上時計 の形ですね。t のあと、e- w- t- w t e (U のあと、R' L' U' L U R) で完成です。

簡単になったピラミンクス、以上の印象がなくって…、ごめんなさい。

同じスクランブルを、n t- n- w- n- t (B U' B' L' B' U) で V字を揃えることもできます。
PenrosePyraminx_Scr23L07a2'.JPG

t (U) のあと、前反時計・右奥、t w- t w t- e t e- (U L' U L U' R U R')
で完成してしまいます。…こちらはややマニアックな手順ですね。

ピラミンクスを日頃から楽しんでいる方々なら、このパズルも、一風変わった感じで楽しめるのかもしれませんが、私は

「これなら普通にピラミンクスを廻してるので充分」

と思ってしまいました。

興味がある方にはお譲りしたいと思います。

'23.10.26追記
と書いていましたが、先日知り合いにあげました。その知り合いの娘さんが喜んで廻してくれているようで、嬉しく思いました。きれいで可愛らしく、いいパズルだと思います。


posted by じゅうべい at 14:19| Comment(0) | ピラミンクス

2022年12月13日

ピラミンクス、廻すのが難しいですね


Pyraminx_tanoc さんはトリコンピラミンクスのーズンランキングで現在 15位、猛者ですね。昨年のアドカレの、Curvy Starminx についての記事も秀逸でした。12/7 のツイートが、もし私の、アイコサメイトの自己ベスト 17分46秒70 についてのエールであったのなら、ありがとうございます。そこにあった一連の文はおそらく『あひるの空』、懐かしいですね。『HUNTER×HUNTER』のように連載が再開されることを心待ちにしています。

あ、素数かどうかの判定は素数判定機がお勧めです。一時期はマイナンバーが素数かどうかを判定することが流行ったとか。素数大富豪についてはこちらの記事が分かりやすそうです。素数大富豪についての青春小説『QK部 トランプゲーム部の結成と挑戦』も出版されましたね。ちなみに、トランプ二枚で出せる最大の素数は Q と K を並べる 1213、というのがその小説のタイトルになっています。

それはさておき。

ピラミンクスの指使いについて示していただけたのはめちゃくちゃありがたかったです。私は動画を見てもまるで目がついていかないので。うん、確かに上段廻しに使う人差し指を、奥廻しにも使うのは持ち替えが発生して遅くなるだけですね。頑張って薬指(左右)で廻せるようにします。

頂点については、”パズル要素としては皆無でも、競技としては重要”というのは納得させられました。なるほど、その通りですね。そこをうまく廻すところまで練習してこその強者なのでしょう。

L4E について、CubeRoot さんのサイトはコンパクトにまとまっていますね。スキューブスクエア1についての記事も面白そうなのですが、見ただけでは難しく、ちゃんと廻してみないと分からなそうなのが残念です。私は網羅してある方の、Michael Gottlieb さんのサイトを参考にして、そこから上段廻しをした 41手順で廻しています。オリジナルの 96手順は覚えるのが大変ですが、41手順ならどうにかなる気がしています。

私の集計結果では、約500回分しか記録が残っていませんが、L4E のうち、前時計 25%, 前反時計 20%, 十字 28% なので、まずは前時計・前反時計の 4手手順から覚えていくのが良いと思います。前時計・前反時計の差はスキューブ同様におそらく統計的に有意である気がしていますが、どなたかが検証してくださることを楽しみにしています。

試し解き (example solve) もありがとうございます。ただ、私はもはや別の色配置では解けない体になっていて、その1から「何を言われているか、全然分からない」状態に陥りました。CN (color neutral, 最適な色配置で解く)だと V字作りが必ず 5手以内に、普通は 4手以内にできるんでしたっけ?すみません、無理です。私はもう、黄底 緑前でしか解けません。いちおうそれでも、V字は 9手以下でできます。

CS (color stable, 色固定、なんて用語はありませんが…) だと、緑黄が追っかけやすいので、V字を読みながら L4E が多少読めたりもします。下前に来るはずの緑黄が上段に来るのなら、もう一つ揃う辺はないのか、あったらそれを奥に合わせて前時計・前反時計、ないなら十字と読めます。下段に来るなら上時計・上反時計、緑黄の向きまで読めたら、さらに手が絞れます。

ともあれ、速い方の文字での記事は本当に勉強になります。…動画を見るのが苦手なので。せっかくなので、試し解きを繰り返し廻してみて、勉強させていただこうと思います。

posted by じゅうべい at 12:45| Comment(0) | ピラミンクス