2019年12月19日

FMC Advent Calendar 2019 19日目

この記事は FMC Advent Calendar 2019 19 日目の記事として書かれたものです.
18 日目はfuumy0402さんによるFMCにおける思考過程 その2でした.
20 日目はKotaro Teradaさんによる停滞おじさんFMCです.

スピードキューブ界のみなさん、特にFMCをみなさん、はじめまして。
その手の関わりが一切ない私ですが(大会参加もなし)、triboxコンテストは 333 は最初期からほぼ皆勤(2017年第14節のみ腸閉塞で入院のため不参加)、メガミンクス・スクエア1・スキューブも競技開催の始めから皆勤しています。
メガミンクスではほぼ全ての節で、記録が残った中で最下位を記録しており、2019年後半第2節で KITAMURA Akatsuki さんに最下位を明け渡した際、氏がTwitter で
『しんがりは任せろ!』
とつぶやいていたのが印象的で、以来、氏の Twitter は triboxコンテストの各節が終わる度に見に行くようになりました。FMC Advent Calender についても氏の Twitter で知った次第です。空き枠が一つだけ余っていたので参加させていただくことにしました。

たむそんさん、この FMC Advent Calendar の企画をありがとうございます。

FMC は興味だけは以前からあったのですが、triboxコンテスト2016年第3節、乳飲み子がミルクを要求してどうしても寝てくれず、タイムオーバーで諦めて以来、参加を諦めていました。当時はキューブ関連に、連続して 1時間を用意することができませんでした。

最近は多少はマシになりましたが、キューブに使える時間はまだまだ少なく、FMCの勉強もまるでできていません。333も平均自己ベストが今年のtriboxコンテスト第19節で出した 49.696、第21節では単発 3分36秒(333両手開眼で)も出しました。まだまだ速くない人に「こんな人もいるんだから、挑戦してもいいんだ」と思ってもらえれば幸いと感じています。

今回はFMCにあまり馴染みがない人々に「FMCは楽しいから、知識がなくてもやってみるといいよ!」と紹介する気分と、私の 333 解法は、いまどき化石のような CFCE (Cross→F2L→CLL→ELL) なので、みなさんとは違った切り口を紹介できるかと思いました。…M'4 さんの記事にあった「F2L#4終了時点から、 F' D' F L B D B' L' D'(9手) で完成状態になるよ!」という うえしゅうさんの指摘を読むと、そちらは不要にも感じますが。

スクランブル:
R' U' F L D B' R2 D2 U2 R2 F L2 F' D2 F' L' R' U B' L2 B L D2 R' U' F

00a_scramble_low.JPG00b_scramble.JPG

ブロックビルディングを知らず、勉強する時間すらもない、試す余裕もないので、クロス→F2Lを普通に作っていきます。誰がなんと言おうと、日本配色の青クロス、白上面、緑前面なので(新しくキューブ系パズルを買うときには必ずステッカーも同時購入して張り替えます。ステッカーレスは使えません)スクランブルの結果はこのようになりました。

CFOPで解いている方も何人かおられますが、え?超ラッキークロスじゃないですか?対面色が揃っていて、左面もL2で入り、右面も素直に入ってくれます。

F D R' L2 // cross (4/4)

私は世間と逆行して color stable (たぶんそんな用語はない)ので、黄赤は右奥に入るものと決まっています。その組み合わせが、隅を U' した位置に辺がいて、右辺で黄が揃う G の形ではありませんか。…この辺は自分の確認用解説としてご容赦を。

01a_F2L#1_wCircle.jpg01b_F2L#1_wCircle.jpg

U2 R U' R' / U B U' B' // F2L #1 (8/12) ← / の前が IT化手順になっています。

あれ?奥を見たら(私は持ち替えないので、手順が FMC にそのまま使えます)左前の緑橙の組も G から一つ U した形になっていますね。

02a_F2L#2_wCircle.jpg02b_F2L#2_wCircle.jpg
B' U B / L' U2 L  // F2L #2 (6/18 → 最初の B' が #1 末尾とキャンセルして 17)

次に隅が浮いている左奥、黄橙が目に入ります。見える側面が同色なので V ですね。

03_F2L#3_wCircle.jpg

U2 B' U' B / U' B' U B // F2L #3 (8/25)

なんと F2L #4 は I がいきなり入る形になっていました。

04_F2L#4_wCircle.jpg

F' U F // F2L #4 (3/28)

さて、次は CLL、corner permutation and orientation of the last layer です。Roux で廻す人にはお馴染みでしょう。私は CLL は覚えたのにブロックビルディングができず、「ニ層目まで cross→F2Lの方が速いじゃん」と Roux をあきらめたのを思い出しました。

私は最初に 333 を始めた時に、島内 剛一先生の『ルービック・キューブと数学パズル』で学んだので、上面は隅も辺も三点交換です。目隠し競技にも FMC にも活かせそうなのに、まだまだ全然活かせていませんが、これは私の力量不足と練習不足によるもので、島内先生の"S式"が悪いわけではありません。もちろん、S式は数学者による解法ですが。私はS式の亜流として"J式"を名乗ることにしましたが、普及はしないと思っています。

05a_CLL_Lplus_wArrow.jpg05b_CLL_Lplus_wArrow.jpg

さて、私の CLLにおいては隅の正位置の組み合わせを右、逆位置を左面に置いてUBR→UFR→UFL の三点交換します。Niklas の R' U L U' R U L' U' が基本になります。三点交換にならず、隅向きかえ手順や隅平行移動手順となることもありますが、それはさておき。今回は、前面にある黄隅が右赤左橙、これは逆位置です。奥の緑は左赤右橙で正位置です(この辺がまだまだ頭に入ってなくて、迷うので時間を食います)。なので、いつもなら U のあとに手順を廻しますが、FMC では無駄な一手となるので、持ち替えをイメージした手順を用います。L の側面が前面右面にあるのが基本の L0 なので、90°回転したこの形は L+ ですね(SpeedSolving.com の Wiki では LR)。日頃使っている L+ の手順を AUF がないようにずらして表記すると、

R' F R B' R' F' R B // CLL L+ (8/36)

S式・J式はこのように、かつて一世風靡した"世界一周"という、側面を時計・反時計周りに続けて廻していく手順が多いので、B・B' を間違うことはなくなりますが、手が滑って”崩壊”(再びスクランブルしたみたいな状態)を起こしやすくなるのが弱点です。

続いて ELL (edge permutation and orientation of the last layer)です。単純三角(正時計・反時計),二の字,十字,単純向き替えに四分類されますが(合計29)、発生する約 8割が単純三角と感じています。

ここで黄が位置は合っていて反転、残りの三辺は反時計回りに廻せば合う位置になっています。普段は辺の動きが右→左→前になるよう、U' で不動の辺を奥に置いて手順を廻しますが、奥左の辺を反転させながら反時計回転に移動するさせる手順はこの向きで B から始まるので CLL の最後とキャンセルできるので、このまま 90°ずらした手順で廻します。

06_ELLtriCcwNWup_wArrow.jpg

B U' L' U' B L U L2 U' B' L U L2 B' // ELL 三角正時計NE上げ (14/50→一手キャンセルで 49)

最後に U' の 50手で完成です。

ただ、ELL 単純三角において奥面向き変えのものは手順が長く(日頃から練習してないと、すぐ廻し損なってしまいます)、FMC 向きとは言えません。ここまで素直に廻せて時間も消費しなかったので、CLLを工夫してみることにしました。

日頃のL+ 手順、U2 B' R B L B' R' B L は辺の向きを変えずに十字置換します。全ての CLL を複数覚えているわけではありませんが、L F U' F' U' F U F' L' U' は辺の前面向き替え、左→奥→右の時計回転で奥面を上げてくれるので期待できます。F2L #4 のあとにこの CLL を廻してみましょう。90°ずれているので F 始になります。

F R U' R' U' R U R' F' // CLL L+ (9/37)

06b_ELLtriCcwSEup_wArrow.jpg

赤が位置も向きも合っている状態で、三辺は奥→左→前の反時計回転で、奥左を上げる形です。いつもなら U' →手順→ U で廻しますが(持ち替えるよりそうした方がいい、とは端村 航さんのブログで読んだと思います)、FMC 用にそのまま廻すと、

B R F U2 F' R' B' L' U2 L // ELL 三角反時計 前左上げ (10/47)

キャンセルはなくなりましたが、短い手順を利用できるようになったので 3手短くなりました。

まだ時間があるので、もうちょっと頑張ってみたい。F2L #4 の直前に 黄白,橙白,緑白が上面に揃っていることに気づきました。時計廻しをしておけばキャンセルしてくれるかもしれません。

(F2L #3 のあとに)
L2 U B F' L2 B' F U L2 // ELL 三角正時計 平 (9/34)

07_ELLbefore#4_wArrow.jpg08a_afterELLbefore#4_low.JPG

F' U F // F2L #4 (3/37)

09a_afterELL#4beforeCLL_low.JPG09b_afterELL#4beforeCLL_low.jpg

F R U' R' U' R U R' F' // CLL L+ (9/46 → 一手キャンセルで 45)

このELLは、みなさんなら PLL の Ub で廻すものなのですね。知りませんでした。a, b のうち、a が反時計廻しで b が時計廻しなのも衝撃でした。この単純三角・時計廻し手順はS式、島内先生の本において基本中の基本なので、世間であまり知られていなそうなのも驚きました。まぁ、確かに廻しにくいです。このように横向きで L2 や R2 で始められる時には廻しやすくて助かりますね。この手順は持ち替えや上面回転をせずに、四方向全てでそのまま廻せるように練習しています。

ELL 手順は隅に影響しないので CLL 以前にやっておいても変わりませんが、辺については F2L #4 の F' U F で一つ向きが変わるのが読み切れず(EO, edge orientation の基本なのでしょうけど)、たまたまラッキーで揃った感じです。

ラッキーもありましたが、これを解答とさせていただきます。さすがにこれ以上を探索する時間はありませんでした。

F D R' L2 U2 R U' R' U B U' B2 U B L' U2 L U2 B' U' B U' B' U B L2 U B F' L2 B' F U L2 F' U F2 R U' R' U' R U R' F'

F D R' L2 // cross (4/4)
U2 R U' R' U B U' B' // F2L #1 (8/12)
B' U B L' U2 L  // F2L #2 (6-1/17)
U2 B' U' B / U' B' U B // F2L #3 (8/25)
L2 U B F' L2 B' F U L2 // ELL CW plane(9/34)
F' U F // F2L #4 (3/37)
F R U' R' U' R U R' F' // CLL L+ (9-1/45)

久しぶりの挑戦にしては悪くない結果だったと思います。
長々となってしまいましたが、読んでいただいた方々、ありがとうございました。

日頃はキューブを廻すのは triboxコンテストの直前に 6 ソルブして(メガミンクスはそれすらなし)本番の 5試技を廻すだけ、手順の練習は自転車通勤の信号待ちくらいです。配偶者がキュービストでもない限り、子持ちの社会人にはまるでキューブをする時間がありません。若者のみなさん、今のうちに思いっきりキューブを満喫しておいてくださいね!

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posted by じゅうべい at 00:00| Comment(0) | FMC