娘の母方の祖父(私の奥さんのお父さん)は、娘が小学校に入ったときから小学館の雑誌、『小学8年生』を毎号下さっています。8はデジタル数字表示で、一年生から六年生までの全ての学年に対応できる、という意味だそうです。
今回の『小学8年生』は”BlueTooth 搭載でプログラミング体験”、スマホにアプリをダウンロードすれば、携帯電話型の付録が鳴ったり光ったりするそうです。スマホ関連については奥さんにやってもらいましたが、試してみたところ画面が狭くてやりにくそうでした。
それなら、と“小学生向けのパソコンで無料でできるプログラミング”を検索してみました。このへんのまとめサイトが引っかかったので(いきなり有名大手予備校のサイトに飛ばされるものもあるのでご注意を)、Scratch を選んでみました。左列に並んでいるアイコンをコードとして選んで並べるだけなので、子供にも取っつきやすそうです。
…娘は”ウサギがリンゴに触れたらおいしい!と言う”とそのまま書き、思った通りに動作してくれないので、そこで諦めてしまいました。娘が寝てから私がいろいろいじって、それができるように組んでみました。久しぶりにプログラムを組んだ気がしましたが、そう言えば去年、百人一首の札流しをするマクロを Excel の Visual BASIC で 組んでいましたね。
小学四年生の娘によると、学校のクラブ活動でも Scratch をやっている友達はいるそうです。
とはいえ、小学校でプログラミング教育をすることには私は否定的です。
文部科学省によるプログラミング教育の手引きによると、6ページに
「プログラミング的思考:
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、
一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、
記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、
といったことを論理的に考えていく力」
とあります。この力を養成するためにプログラミング教育を行う、ということでしょうが…。
それなら、スピードキューブをやらせればいいんじゃない?って思ってしまいました。
いえいえいえ、さすがにそれはあまりにキューバー寄りの思考ではありますが、これは楽器演奏でもスポーツでも囲碁将棋でも百人一首かるたでも同様に実現できることです。
耳コピで楽器を演奏できる人もいますが、楽器演奏をするには楽譜を読めた方が良いでしょう。自分が演奏したい曲を表すには、それがどのような音符の組み合わせでできるか、考える必要があるでしょう。それは囲碁将棋の棋譜でも同様です。
それを、画面上のアイコンをちょっと動かす程度、外部機器を点滅させたり鳴らす程度のプログラムを組ませて、「プログラミング的思考を教育した」とされても、ねぇ。一方で、それ以上の水準を求めるとなると、自力でルービックキューブ(3x3x3)を 20秒以内で解けるくらいの修練が必要になり、それは全国の小中学生に求められるものでもありません。
プログラミングは習うものではなく慣れるものだと思います。私も独習し、習ったことはありません。大学時代は、IT企業ではありませんが、プログラムを組んだ稼ぎで勤労学生をやっていました。習う程度では身につかないことを実感しています。
そして、かつていろいろあった”パソコン検定”、たとえば”一太郎検定”などもいまや無用の長物です。多くの若い人に「昔はワープロソフトと言えば、徳島のジャストシステムが出していた”一太郎”が定番だったんだよ」と言っても、何のことだか分からないことでしょう。…ジャストシステムは、現在もスマホの日本語変換に ATOK(エイトック)が使われているので健在です。すみません、調べてみたら、一太郎自身もまだ販売されていました。徳島県の行政手続きのファイルはいまも一太郎対応のものがあるようです。
仕事の上で必要になったら、そこで必死になってその技能を習得する方が、無駄もなく、また必死にもなるので、効率がいいと思います。
プログラミングは…面白いので、体験するのは悪くないと思います。私も好きです。ただ、全ての日本人小学生に強要するものでもないと思います。ましてや、不安になった親が我が子をプログラミングスクールに通わせるのは愚かでしょう。子供がプログラミングを好きなら構いませんが。
ということで、プログラミング体験を小学生にさせるのなら、同様に囲碁将棋やキューブパズルも体験させると良いのでは、と私は思います。音楽と体育は既に正課にあるので、それらの中から自分に合ったものが探せれば良いでしょうね。