2023年04月12日

ラッチキューブ10:上面の隅合わせ

Latch Cube
LatchCube_scrambled.JPG
は残すところ上面だけとなりました。F2L を入れる上で辺の向きは揃えているので(向き替えが発生したら辺向き替え手順で戻してください)、隅位置、隅向き、辺位置が揃えば完成です。

J式記号を再掲します。反時計回りでは"-"、180°回転では"2"(本当は上付き)を添えます。J式回転記号のあとに/ の後またはカッコの中に WCA式表記を添えることにします。
notation_tb.jpgnotation_ew.jpgnotation_sn.jpg

PDF ファイルの解法では、隅向き→隅位置→辺位置と揃えていっていましたが、手数が多めになってしまいます。HATAMURA さんの動画にあるように、まずは隅位置を合わせてしまうのが良いでしょう。

世間ではかなりの少数派と思いますが、私は 3x3x3 を、クロス→F2L のあと、隅の向きと位置合わせ (CLL) →辺の向きと位置合わせ (ELL) で合わせる CFCE で揃えています。いえ、Speedsolving.com Wiki に項目があるくらいですから、そんなに異様な解き方でもないはずなのですが、かつては「判断にも時間を喰うし、手順もひどいぜ」などと言われていたようですね。

その CLL 手順 (上記 CFCE についての項目からたどれる手順としてはこちら)が廻せれば一撃必殺なのですが、”辺の向きが変わってしまう手順は使えない”という縛りがあります。このラッチキューブで、辺の向きだけ変える手順はまだ見出されてないようです。

私の CLL 手順は全て
CLLmoveDirection.jpg
と三隅移動になるように統一されています。隅について、右列が正位置・左列が逆位置になるように置くと、この三点移動手順で位置が合います。

その三隅移動の基本はやはり Niklas となります。

e- t w t- e t w- t- (R' U L U' R U L' U')

で三隅を反時計捻りしながら時計移動させます。

島内先生の本でも説明されていますが、もともとはこれは e- (t w t- w-) e ・ w (t w- t- w) w- / R' (U L U' L') R ・ L (U L' U' L) L' という、共役付きの z交換子(sexy move)→共役付きの y交換子 (sledgehammer) が 4手もキャンセルされた手順ですが、さらに最後の上面合わせも実質は不要なので 7手で隅位置が合います。

いえ、本当に、実質はこの Niklas だけで充分です。HATAMURA さんも仰るように(初期位置が違うので向きも手順もちょっと違いますが)隅位置を合わせて、あとは隅向き合わせ手順を廻すので問題ありません。

ただ、せっかく CLL 42手順(A, U, T, L, S, aS, H, Pi で 0, -, +, 2, 1, = の各 6手順で 8x6 = 48手順, 重複 6手順)があるのですから、どうにか検討してみたいですね。

辺向きが変わらない手順は、隅平行手順と隅移動なし手順は除いた以下の
CLLall.jpg

のうち、Niklas (aS0), L+, S-, Pi+ が該当しました。ただ、

t (CLL の逆手順) t で隅は同様に動くことも分かりました(辺の移動については検討していませんが、辺向きは変わりません)。

それを駆使して、追加できた手順が T0, T2, L2, H- でした。これらの状況のときには、隅合わせと同時に隅向きも合わせることができます。

それ以外の場合は隅向き合わせが必要となりますが、幸運なことに、S= (三隅時計捻り), aS= (三隅反時計捻り), 隣隅上げ (y2 持ち替えした U= に相当)、隣隅下げ (y2 持ち替えした T= に相当) は廻すことができました。

初心者向け J式解法の上面合わせにも書いたように、位置が合ってしまえば、Sune (スーネ) とその逆手順、anti Sune で、
H: H の字のまま Sune、最後の上面 180°回転省略→もう一回 Sune
Pi: Π の字を上下逆にして Sune →左上前を左上奥になるように持ち替えて Sune
L: 上面色を対角の右肩上がりに、側面向き上面色は右と奥に向くようにして Sune →H になるので後は H の方法で
で隅向きは合わせることができます。

L だけ”上面色を対角の右肩上がりに、側面向き上面色は右と奥に向くようにして" のあと、anti Sune を廻すと一隅だけ上面を向くので、t2 → Sune、に修正します。

でも、Sune, anti Sune とも 8手手順、それを二回廻すのはできれば避けたいですね。そこで組み合わせリストを作りました。


大きめの画像を作ったのですが、ボケてしまってすみません。クリックしたらきちんと表示されます。ともあれ、たとえば隅の状況が、U+、位置が合っている組み合わせを右列、合ってない組み合わせを左列に置いたときに右奥隅と右前隅で上面色が右を向いている場合は、まず L+ を廻し、t- (U') を廻した後に S= を廻せば、隅の位置と向きが揃います。

いろいろ頑張ったのですが、U- だけは良い組み合わせを見つけることができず、3手順を廻すことが必要になってしまっています。そのときだけは仕方がないと割り切りましょう。

隅平行(右列も左列も隅位置が逆)は辺の向きを変えないのは H1 だけでした。その状況では諦めてこれを廻し、あとは隅向き替え手順で対応しましょう。

では、手順を順に紹介していきます。

三隅巡回: 黄前で t2 e t2 e3 t3 e t2 w- t e3 t3 w-3 (t2) / U2 R U2 R3 U3 R U2 L' U R3 U3 L'3 (U2)
LatchCLL_3rotate.jpg
PLL の A perm:a ですね。CLL 手順のほとんどはこのように黄面を前に持って廻します。

S=(三隅が移動せずに時計捻り): 黄前で w- t2 w-3 t w- t w-3 t2 / L' U2 L'3 U L' U L'3 U2
LatchCLL_Sequal.jpg

側面に着いている赤い細い長方形が、上面に向くべき隅の赤面を示しています。

aS=(三隅が移動せずに反時計捻り): 黄前で e3 t3 e t3 e3 t2 e t2 / R3 U3 R U3 R3 U2 R U2
LatchCLL_aSequal.jpg
この辺はお馴染みの手順ですね。

Niklas (aS0): 黄前で e- t w t- e t w- t- / R' U L U' R U L' U'
LatchCLL_Niklas.jpg
いちおう再掲しておきます。

隣隅上げ: 緑前で e n w3 n3 e3 n w n3 s- w3 n w s-3 w3 n3 w / R B L3 B3 R3 B L B3 F' L3 B L F'3 L3 B3 L
LatchCLL_CAdjUp'.jpg

私の愛用手順の一つではありますが、まさかこのラッチキューブで廻るとは思いませんでした。ただ、さすがに緑前限定なのでご注意ください。前の二隅の前面を上に上げます。

隣隅下げ: 緑前で e n3 e3 s-3 e n e3 s- n3 e n w- n3 e3 n w / R B3 R3 F'3 R B R3 F' B3 R B L' B3 R3 B L
LatchCLL_CAdjDown'.jpg
隣隅上げの逆手順でも廻りますが、私はこちらを愛用しているので提示しておきます。これも緑前なのでご注意を。ただ、隣隅上げと違って、こちらは黄前でも最後の 1手以外は廻せます。

H1: 緑前で s-3 (e t e3 t3)^3 s- / F'3 (R U R3 U3)x3 F'
LatchCLL_H1.jpg
唯一の辺向きが変わらない隅平行手順です。廻しやすいので、Niklas を2回廻すよりお勧めです。これまた緑前なのでご注意を。

T0: 黄前で t2 (s e n3 e3)(s- e n e3) / U2 (F R B3 R3)(F' R B R3)
LatchCLL_T0.jpg
本当は t {t (s e n- e-)(s- e n e-) t- }t なのですが、最初と最後にキャンセルが入っています。

T2: 黄前で t (w- n3 e n w-3 n3 e3 n) t3 / U (L' B3 R B L'3 B3 R3 B) U3
LatchCLL_T2.jpg
これも t () t 手順ですが、最後の上面廻しは実際には気にしなくて良いでしょう。

L+: 黄前で t2 n- e n w- n3 e3 n w-3 / U2 B' R B L' B3 R3 B L'3
LatchCLL_Lplus.jpg
廻しやすい手順なので、私のお気に入りです。

L2: 黄前で t (e n3 e3 s)(e n e3 s) t3 / U (R B3 R3 F)(R B R3 F) U3
LatchCLL_L2.jpg
普段廻している L2 は n w- n- w t w t- w- (B L' B' L U L U' L') という、ものすごく廻しやすい手順なのですが、残念ながら辺向きを変えてしまいます。t (逆手順) t で生成したこの手順なら辺向きのトラブルはありませんが、前面が二回とも時計廻しなのが何とも不思議で、つい間違えそうになってしまいます。

S-: 黄前で e t3 w- t e3 t3 w-3 t2 / R U3 L' U R3 U3 L'3 U2
LatchCLL_S-.jpg
これは普段廻している手順のまま廻ってくれました。実質 7手と、短いのもありがたいですね。

H-: 黄前で w- t3 w-3 t3 w- t3 e t3 w-3 t e3 t / L' U3 L'3 U3 L' U3 R U3 L'3 U R3 U
LatchCLL_H-.jpg

Pi+: 黄前で e t3 w- t e3 t w-3 t w- t w-3 t / R U3 L' U R3 U L'3 U L' U L'3 U
LatchCLL_Piplus.jpg

これらの手順を駆使すれば、殆んどの場合で 2手順を廻せば、隅の位置と向きが合います。

でも、実際にはラッチキューブのためだけにこれらの手順を覚えるのは大変すぎますね。Niklas, S=, aS= だけでも充分どうにかなるので、まずはそれだけは頑張ってみましょう。

ちなみに、上面に白矢印が一つもないときには、二辺向き替え手順 (n t w t3 w3 n3 など)を二回廻すよりは

H0: 黄前(緑前でも可)で n t2 n2 e n e3 t2 n3 e n e3 / B U2 B2 R B R3 U2 B3 R B R3

を廻す方が手数が短くなるのでお勧めです。あまりそんな状況には遭遇しないと思いますが、知っているのは悪くありませんね。

posted by じゅうべい at 16:20| Comment(0) | 立方体と曲線
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