ピラミンクスのV字作りについて、前回 リストを(全体の十分の一とは言え)提示しましたが、そんなものを羅列的に見せられても分からないものですね。
ピラミンクスのV字作りのポイントとしては、
1.
V字作りは全て8手以内で収まりそう。
9手以上掛かってしまったものも、いろいろ検討して 8手以内の手順に修正することができました。例えば、辺だけが反転している 奥右左000 青2r 赤3r (表記については後で再掲します)は持ち替えて 向き替え・左右、e t- e- t w- t w t- (R U' R' U L' U L U') を廻してしまった方がいいのでは、とすら思いましたが、最終的に、e- n t- w- e n- w (R' B U' L' R B' L) という 7手手順を見出しました。
リストの 333手順中、5, 6, 7 手手順で全体の三分の二を占め、4手手順が 14%、3手と 8手が 8%づつを占めます。リスト作りの後半は短手数手順を優先的にチェックしたのもあり、実際には 6〜8手手順がもうちょっと多めだろうとは思いますが、9手以上にはせずにすみそうです。
2.
右隅・左隅の向きが合っている状態で辺が揃った奥を回転するか、奥の向きが合っている状態に辺と隅が揃っている組み合わせを廻して入れていくのが基本。
世間で普通のピラミンクスを廻す方は、n・n- (B, B') や w・w- (L, L') などはあまり廻さないとは思いますが、指の廻りの悪い私はそんなことに頓着している余裕はないので、廻せる軸は何でも廻します。一方で、混乱を生む面廻しは避けています。空間把握が苦手なのだと思います。3x3x3 でも、私は M, S, E の中層廻しは行いません。
それはさておき、奥や左廻しを気にせずに行うことで、00+ 2s 3s
のような場合、n- e- n (B' R' B) と、奥をいったんどかして、右隅を入れてから奥を戻す、という手順が公式化出来ます。
隅向きを変えるときに、奥に合体して向きが揃っている辺を崩したくない場合は、その回転軸が奥の峰(位置記号で言えば 1 の辺)を通る向きにすることが王道となります。
3. 反転した辺は上回転(t・t-/U・U')もしくは下前を経由する ew (RL) などの動きを必要とする。
ネタを知っていると読むのが楽になりますね。その意味合いを込めて、辺の向きの s (standard)・r (reverse) を定義しましたが、慣れるまでは混乱しやすいと思います。
4. 最初は無理しない。
私もだいぶピラミンクスの V字を読んできましたが、まだまだ読み切れなかったり、読み違えることが多発します。読みはそこそこで済ませて、実際に廻してから、隅や辺の残りがあったら、上記の n- e- n (B' R' B) や e n- e- n (R B' R' B) などでその場で対応していった方が現実的です。リストの手順でも、かなり読みにくいものもいろいろあり、「よく見つけたな」と自分で感心するような手順もありました。多数回解いて慣れてきたら読みやすくもなると思いますが、まずは読み切ることより離れることを優先した方が良さそうです。
4手くらいのラッキーV字を引いたら、L4E まで完全に読めそうですが、そちらもまた要修行のようですね。
ためしに先週のトリコン、2022 後半期 第9節のスクランブルを解いてみましょう。
J式ピラミンクスの回転記号は以下の通りです。もちろん、廻すのは頂点ではなく、面に対して頂点寄りの部分です。
状態の把握のための記号化については、まず下段の三隅については、奥→右→左の順に、そのままで向きが合っている、つまり黄が下を向いているのなら 0、時計廻しが必要なら +、反時計廻しが必要なら - としました。
J式ピラミンクスは配色固定式 (color stable, CS) で、隅(頂点ではない三面体)の黄赤青が奥、黄青緑が右前、黄赤緑が左前、赤青緑が上にくるように持ちます。
状態の把握のための記号化については、まず下段の三隅については、奥→右→左の順に、そのままで向きが合っている、つまり黄が下を向いているのなら 0、時計廻しが必要なら +、反時計廻しが必要なら - としました。
次に青黄・赤黄がどこにいて、どういう向きを向いているかについて、以下のように番号を振りました。
奥面を上→右→左の時計周りの順に 1, 2, 3、前面を右→下→左の順に 4, 5, 6、です。向きは 0手もしくは 1手で位置が合う場合に向きが合うなら s (standard), 逆なら r (reverse) としました。上記スクランブルの場合は、青黄→青、赤黄→赤と略して、
青6r 赤3s となります。
位置 5 だけ例外で、前面に黄色が向いていれば青黄でも赤黄でも s になります。他は同じ位置でも青黄と赤黄とで s・r が逆になります。赤が 3 で下面に黄なら s、青が 3 で下面に黄なら r になります。
その1:R U' L U B' L U B U L B b
右は上段を取り除いて、下面が上から見えるようにしたものです。
奥右左--0 青5r 赤 4s、ですね。リストにはありませんが、e t- (R U') から王道の、n e n (B R B) で V字が完成します。
頂は随時直して、
上反時計・奥右下、t (U) で 上反時計・左右下 t w- t w e t e- (U L' U L R U R')、最後に t- (U') で戻して完成です。
その2:R' U B L' B' L' B' L' U' R' L u r b'
奥右左+-- 青4s 赤 3r、これまた残念ながらリストにはありません。n e で奥に青辺が合わせられますが、そのときに赤辺を赤隅と合わせるために 2手目に w を入れて n w e (B L' R)、さらに w で残すは青隅だけなので、n- e n、通して n w e w n- e n (B L R L B' R B) で V字が揃います。頂を合わせて、
あらら、これまた上反時計・左右下 t w- t w e t e- (U L' U L R U R')でしたね。
私も久しぶりにピラミンクスでもトリコンに参加してみようと思いましたが、事前の csTimer での練習で 20秒台後半から 30秒台を連発したので自粛しておきました。V字は読み間違って入れ直しが続出しますし、L4E も判断に時間を喰った上に読み間違って廻し間違って手順追加を繰り返し、修行のやり直しの必要性を実感しました。
せっかくなのでまたちょっと練習し直してみようと思います。