できるだけ回転記号は世間のみなさんと合わせていきたかったのですが、メガミンクスの ELL・CLL に話が至ってはもはや仕方がありません。
J式は島内 剛一 先生が提唱した S式をアレンジしたものなので、面を上下東西南北 (上面がT, 下面がB, 側面は正面から反時計回りに S, E, N, W)、回転記号は面記号が大文字であるのに対し、小文字で表記します。反時計回りには上付きで "-" を加えます。最小回転角度二回分の回転には上付きで "2" を加えます。ただ、このブログでは文字の上付き・下付きが表現できないようなので、それらはそのまま表記します。
メガミンクスにおいては、F2L では WCA式表記方法で問題がありませんでしたが、ELL・CLL では背面左も普通に廻します。正面から反時計回りに面の記号を示すと、F (J式で S), R (J式で E), B もしくは BR (J式で N), その次が問題となります。正面から時計周りに示すと F (J式で S), L (J式で W) の次ですね。
かつて子供用に買った 二層チーズケーキ の解法を考えていた時にも同様の回転面が存在し、命名に困りました。北と西の間で西北、乾(いぬい)にちなんで I と名づけました。
となります。回転記号に関しては以下の通り、小文字になります。
J式は(S式同様に)手順中の持ち替えを認めません。S式はルービックキューブを数学(群論)で扱う上での必要性からそのようになっていますが、J式は単に私が混乱するからという理由によります。すると下段もそのまま持ち替えずに廻すことになります。最下段(上面の対面)をそのまま廻す機会はありませんが、あえて名づけるのなら B面 (bottom) となります。
分かりにくいこと、この上ありませんが(以下、J式表記の後にできるだけ WCA表記を括弧内に加えるようにします)、例えば E面 (R) と N面 (B) に接する下段が G面 (回転記号では g)、S面 (F) と W面 (L) に接する下段が O面 (回転記号では o)、となります。
G は東北を意味する艮(うしとら)の音読み、ゴンから名づけました。K は乾(いぬい)の音読み、ケンに由来します。すると南西を意味する坤(ひつじさる)の音読みはコンなので困りました。K は既に使われています。よって二文字目の O を採用しました。
S面 (F) と E面 (R) に接する下段の方位である南東の巽(たつみ)に至っては、音読みのソンで S も O も N も既に使われてしまっています。そこで真南よりやや東の方位名、巳(ミ)より M を採用しました。
N面 (B, BR または bR) と I面 (BL または bL) に接する下段の方位は本当に残っている文字がなく、「十二支は北である子(ね)から始まるから、最初のアルファベットの A でいいや」としました。
これらの下段名称はスキューブでも採用しています。でも、K回転を用いることはありませんね。A回転も事実上用いません。メガミンクスにおいては g, g-, o, o- だけで充分です。慣れれば持ち替えせずに気軽に廻せますよ。
まずは ELL の基本手順、辺のその場での向き替えを紹介します。できるだけ、J式表記の次に括弧書きで WCA表記を加えるようにします。n は bR, i は bL (Megaminx PLL & more を参照しました), g と o はどうにもならないので大文字で G・O で示します。ただ、どこの向きが変わるかは J式表記でご容赦ください。
向きが替わる辺を薄灰色で着色しています。
ES 隣辺上げ(以下、向き替えを”上げる”・”上げ”と表記します)
e- t- (s e- s- e) s- t s e ←手順の見通しを付けやすくするため、手順のまとまりを括弧でくくっています。
(R' U' - F R' F' R - F' U F R ←こちらのハイフンは手順の見通しを付けやすくするための分かち記号です)
EW 対辺上げ
e- t- (e t- e- t) s- t s e
(R' U' - R U' R' U - F' U F R)S 以外四辺上げ
w- (t- w t- w-) (i- t n- t n i) w
(L' - U' L U' L' - bL' U bR' U bR bL - L)
これらの手順は ELL を二段階に分けて行う(位置を合わせてから向きを替える)なら必須の手順となるでしょう。ただ、実戦では”向きを替えながら位置を合わせる”ので、出現頻度はさほど高くはありません。とはいえ、最初に覚えておく手順達ではありますね。