2024年11月29日

アインシュタインにタイピングさせない

昨晩、以前の同僚が久しぶりに来たので、もう一人の以前の同僚と三人で飲んできました。

お二人は、子ども達が成人、もしくはもうすぐ社会人、くらいになっているのもあり、「自分たちが生きてきたことになんの意味があるんだろう?」などと言い出しました。

そこで私が話したのは、

「大谷翔平やダルビッシュだけじゃ野球はできないんですよ。他の選手やスタッフ、観客もいて野球が成り立ちます。それに、県予選の一回戦で負けるチームの補欠選手までいるからこそ、県予選の上位進出校、甲子園出場校、その中からプロに行く選手で、そういう野球というものが成立していきます。

 世界に数人しかいないような、天才的脳外科医に風邪の患者を診せてはいけないんですよ。天才脳外科医が脳外科の手術に専念できるためにも、普通の風邪を診る医者が必要ですし、その医者が診察に専念するためにも、他の病院スタッフが必要で、そのためにも、コンビニの従業員も重要な役割を果たしていると言えるんですよ」

”アインシュタインにタイピングをさせるな”は ”Deus ex machinaな日々”を読んで知った話ですが、数値化によって具体的に説明されているものとしては”トレードオフと集中”を見つけました。もちろん、大谷翔平も「野球以外に費やす無駄な時間はない」と言いつつも、リラックスする時間として、女性と愛を育んで結婚し、また愛犬との時間も楽しんでいます。

また、この話は”身の程をわきまえろ”ということではありません。より上の状況を目指して努力することは大事ですし、意欲の向上にもつながります。それは全体に対する生産性の向上にもつながります。

一方で、ヨハン=セバスチャン=バッハやモーツァルトすら一時期忘れられ掛けたこともありました。バッハは、次男の CPE バッハの方が当時は大人気で、その次男が自分の成功を「父の指導があったからこそ」と言い続けたので、JS バッハがどうにか思い出され、後の神格化につながりました。

自分がバッハやモーツアルトほどの才能に恵まれたか?いや、そんなことはないなぁ。大谷翔平のように、野球の練習のために飲み会を断ったか?いや、そんなことはしてないなぁ。

それでも、それぞれの人々の人生にはそれぞれの価値があり、自分が自分らしく自分の人生を楽しめているのならそれでいいのではないか、自分によって周囲の人が少しでも楽しく過ごせるなら、自分の存在にもそれなりの意味があるのではないか、そう考えたいものですね。

その飲み会で、言葉が尽くせたわけではありませんでしたが、なんとなく言いたいことは感じ取ってもらえた気がしました。

ということで、3x3x3 でいまだに平均で 30秒が切れない私も、トリコンに参加していることは無意味ではないと信じています。まぁ、もうちょっと練習したいですね。

posted by じゅうべい at 10:47| Comment(0) | 日記

2024年11月28日

ピラミンクスの超初心者向け解法

先月、娘の小学校の授業参観がありました。終わった後、娘とそのクラスメートと話していたときに、教室のおもちゃ箱?に 2x2x2 とピラミンクスがおいてあるのを見せてもらいました。…3x3x3 は壊れて修理中だそうです。

娘は 2x2x2 は解けるようになっていたのでその場で解いてくれていました。ですが、ピラミンクスについては「どうしたらいいか分からない」、そうでしょうねぇ、ぜんぜん形も回転も違いますから。

ピラミンクスの解法については、かつていろいろリストアップしましたが、現在見ることができるのは、立方体の迷宮kemi さんのサイトJaap氏のサイトからさわさんの Top first methodBeginner's Polish V の動画東北大学のサイトくらいのようです。あとはエゲレス語を気にしないのであれば、Ruwix が見やすく分かりやすく、Speedcube.com.au も動画付きで、短くまとまっていました。

ただ、娘は二辺向き替えすら廻そうとしてくれません。スーネ(Sune) も ニクラス(Niklas) も覚えてくれたので、手順を覚える気がないわけではないとも思いますが、”まず手順を示される”という、押しつけられた漢字が嫌なのかもしれません。

で、私もいろいろといじってみたのですが…、”出迎え だけで揃うじゃん”ということに気付きました。子どもって、習得した技術を繰り返すことは苦にしないのですね。教えてみたら、手間が掛かることは一切気にせず、廻し続けて、揃えられるようになりました。

試しにやってみましょう。スクランブルは先週のトリコンのその1、

L' R L' B' R' B R U R' U' B l' b

に、せっかくなので u' r も加えてみました。ピラミンクスの回転記号については、こちらの kemi さんのサイトをご覧下さい。
PyraEasy1_scr.jpg

底面を見やすい向きに、とこの向きにしてしまいましたが、結局は底面を下向きで解いてしまいました。どうぞご容赦を。

単独で廻る小さな三角錐を頂、それに隣接する部分を隅、稜線の中央にある二色の小片を辺と呼びます。

まずは頂を隅に合わせましょう。これは考えずにできると思います。
PyraEasy1a_summit.jpgPyraEasy2_summit.jpg

続いて、隅も三つとも同じ向きになるように向けましょう。二つが合っても三つ目を合わせられない場合は別の向きに向けてみましょう。

この場合は、左隅を前から奥へ、奥隅を左から右に廻すと揃いますね。
PyraEasy2a_corner.jpgPyraEasy3_corner.jpg

たまたまですが、底面に黄が揃いました。辺も底面に入れていきましょう。黄を入れる箇所は三箇所あるので、黄でない色が並んでいる稜線に入れるように気をつけましょう。

入れ方は 出迎え と同様で、避けて→ 迎えに行って→ 合わせて→ 戻す、が一連の手順となります。ただ、ピラミンクスではすでに最初の”避けて”ができしまっている場合が多いですね。

この場合も、まず黄赤を入れてみます。すでに避けられているので、奥を左から右に廻して迎えに行って
PyraEasy4_edge1a.jpg

上を反時計廻しして合わせて(矢印が見にくくてすみません)、
PyraEasy4_edge1b.jpg

奥を右から奥に廻しして戻します。
PyraEasy4_edge1c.jpg

これで黄赤の辺が入りました。続いて黄青、これも前を右から左に廻して迎えに行き、
PyraEasy4_edge1d.jpg

上を時計廻しして合わせて、
PyraEasy4_edge1e.jpg

前を左から右に廻して戻します。
PyraEasy4_edge1f.jpg

最後の黄緑も、前を左→右で迎え、上時計廻しで合わせ、前を右→左で戻します。
PyraEasy4_edge1g.jpgPyraEasy4_edge1h.jpgPyraEasy4_edge1i.jpg

上面を反時計廻しして、
PyraEasy4_edge1j.jpgPyraEasy4_edge1k.jpg

青・赤・緑の隅も揃いました。

一般的な解法では、ここで様々な手順を紹介し始めますが…、この解法では持ち替えます。青面を下にしてみましょう。
PyraEasy5_edge2a.jpg

青緑の辺がありますね。これを底面に入れます。今回は“避ける”が必要になりました。上図のように上面を時計廻しして避けて、
PyraEasy5_edge2b.jpg

あとはいつも通り、左を手前に回して迎えに行き、上面を反時計廻しして合わせ、左を前から奥に廻して戻します。
PyraEasy5_edge2c.jpgPyraEasy5_edge2d.jpgPyraEasy5_edge2e.jpg

今度は青赤、上の右の図のように上面を時計廻しして避けてから、前を左→右で迎え、上を反時計廻しで合わせ、前を戻します。
PyraEasy5_edge2f.jpgPyraEasy5_edge2g.jpgPyraEasy5_edge2h.jpgPyraEasy5_edge2i.jpg

あらら、また黄が崩れてしまいましたね。また黄を下面に持ち替えて、
PyraEasy6_edge3a.jpg

まずは黄赤の辺を、避けて、迎えに行って、合わせて、戻します。
PyraEasy6_edge3b.jpgPyraEasy6_edge3c.jpgPyraEasy6_edge3d.jpgPyraEasy6_edge3e.jpg

続いて黄緑の辺、これも迎えに行って、合わせて、戻します。
PyraEasy6_edge3f.jpgPyraEasy6_edge3g.jpgPyraEasy6_edge3h.jpg

あとは上を反時計廻ししたら完成です。
PyraEasy6_edge3i.jpg

合わせる面は、今回の黄→青→黄にこだわる必要はなく、どの面を用いても構いません。

もっと簡単に揃う場合も多いでしょうし、これ以上の手順が必要になることも多いでしょう。

ですが、この方法なら使う手順は出迎えのみ。これらのパズルを解く上で、感覚的に理解しやすい手順だと思います。

実際、娘もこの方法でピラミンクスを揃えられるようになりました。崩してもすぐに戻してしまいます。分かってしまえば、2x2x2 より取っつきやすいパズルかもしれません。

もちろん、このピラミンクスを高速で解くのなら、様々な技法を駆使した上で、さらに指と判断の修練が必要になることでしょう。ただ、“解けた!”という実感を味わえることは、子どもだけでなく、大人にとっても貴重な体験になると思います。

分かってしまえば気軽に解けるこのパズル、ぜひ多くの人に楽しんでもらえればと思います。

posted by じゅうべい at 13:16| Comment(0) | ピラミンクス

2024年11月22日

Bermuda Jupiter で廻せる CLL 手順

Bermuda Jupiter
BermJupiter_WRB.JPG BermJupiterScr1eGreen1baseF.JPG BermJupiterScr1eGreen1baseH.JPG

において、PLL (Permutation of the Last Layer : 上段の隅と辺を同時に向き替えなしで移動する手順) と ELL (Edges of Last Layer : 上段の辺のみを向き替えも含めて移動する手順) は有効に廻せる手順を見出せませんでしたが、CLL (Corners of the Last Layer : 上段の隅を向き替えも含めて移動する手順で辺移動を発生させることもあり) はいくつか廻せる手順を見つけたので、紹介したいと思います。

回転記号として、島内先生由来の方位を基準とした、J式333 の回転記号を用います。こちらでないと、私には分かりにくいので、どうぞご容赦を。

notationLletter_ew.jpgnotationLletter_sn.jpgnotationLletter_tb.jpg

反時計回りでは"-"、180°回転では"2"(本当は上付き)を添えます。J式回転記号のあとに/ の後またはカッコの中に WCA式表記を添えることにします。

同じ回転操作の組を繰り返す場合は、その回転操作をカッコで括ってカッコの外のべき乗記号の ^ のあとに回数を表記します。これも本当は上付き表記ですね。WCA表記の場合は ^ の代わりに x を用います。

移動方向については CLL についての記事通り、
CLLmoveDirection.jpg

となっています。分類名についても当時の記事と同じで、一文字目は Roux における CLL 分類 と一緒、二文字目は基本の向きを 0、反時計方向 90°回転が -, 時計方向 90°回転が +, 180°回転が 2, 隅平行(左右の隅をそれぞれ手前と奥で交換、PLL における H の移動方向) が 1 となっています。

廻せた手順は L1, L2, S2, Pi- の 4手順だけでした。

それぞれの移動を、隅→辺 の順に分けて示すと(辺または隅に付いている横棒が上面に向きを替える面を示しています)、

L1
CLL_L1corner.jpg CLL_L1Edge.jpg e t2 e2 s e s- e t2 e- / R U2 R2 F R F' R U2 R'

L2
CLL_L2corner.jpg CLL_L2Edge.jpg n w- n- w t w t- w- / B L' B' L U L U' L'

S2
CLL_S2corner.jpg CLL_S2Edge.jpg s- t2 s t2 s e- s- e t2 / F' U2 F U2 F R' F' R U2

Pi-
CLL_Pi-corner.jpg CLL_Pi-Edge.jpg s e- s- e t2 s e- s- e2 t2 e- / F R' F' R U2 F R' F' R2 U2 R'


どれも「なるほどな」と納得させられる手順です。このような手順しかこのパズルでは廻せませんね。L2 は残念ながらそのままでは廻せないので、実際には t2 (U2) してから廻します。

しかし、これだけしか廻せないのであれば、あまりお得感はありません。また、せっかく隅を合わせても、辺だけを移動する手順が無いのであれば、結局は辺合わせで、また隅が移動してしまうことになります。

そこで、私はこれらの手順を辺合わせに用いています。

私はメガミンクスでは ELL → CLL の順に廻していますが、これはやや長手順ながらもメガミンクスの CLL は辺を移動させないからですね。

この Bermuda Jupiter では 辺合わせで意外と混乱させられます。OLL → PLL で解く世間の普通の方々が PLL での辺移動をどのように捉えられているか、私には分かりません。ただ、私の場合、このパズルで「あれ?辺の二点交換になっちゃった?」と混乱することが多発しています。

このとき、揃っている二辺を前と左に置いて、前→左→奥→前 の三点移動で揃うことを確認しました。こんな感じに絵を描いて、円順列は (n-1)! ある、とかいろいろ考えました。気が向いたらぜひお試し下さい。

移動方向を向き替えなし手順に合わせて定式化すると、

BJ_CLL_planeEdge.jpg 向き替えなし : {(t- e t e-) t-}^2 / {(U' R U R') U'}x2

辺合わせで紹介した手順の逆手順です。これだけ CLL ではなく、前下隅も移動してしまうので、気をつけましょう。

BJ_CLL_L2Edge.jpg L2 : t2 (s e- s- e t e t- e-) t2 / U2 (F R' F' R U R U' R') U2

BJ_CLL_rL2Edge.jpg reverse L2 : t- (e t e- t- e- s e s-) t- / U' (R U R' U' R' F R F') U'

ラッチキューブの隅合わせでも紹介した、t CLLの逆手順 t でも同じ隅移動になるのを利用した手順です。

BJ_CLL_S2rEdge.jpg S2 back : t- e- s e s- t2 s- t2 s t- / U' R' F R F' U2 F' U2 F U'

S2 はそのままでは辺の移動方向が反時計廻しになるので、逆手順としました。

これらの 4手順を駆使すれば、辺の向き替え回数が少しでも減らせる、と考えてはいるのですが、向きを替えたい辺がいい位置に来てくれることは少なく、結局は向き替えなし手順を廻してしまうことが多いですね。

辺位置の組み合わせが全く合っていない場合、ELL の二の字の場合ですが、これは Pi- がそのまま使えました。一方、十字移動になっていた場合は t2 (U2) で位置が合うので、気にする必要はありません。

L1 はそのままでは用途がありませんでしたが、なんと (L1, t- )^2

{(e t2 e2 s e s- e t2 e-) t- }^2 / {(R U2 R2 F R F' R U2 R') U' )x2

で右奥と前左の向き替え(辺移動・辺向き替えなし)

BJ_CLL_2Cflip.jpg

ができることが分かりました。

前下の向き替えには使えませんが、二隅向き替え
BermJupiterCRoll_EoOc.jpg右奥時計・前下"反"時計廻し : {(e t- e- t)^2 (e- s e s-)^2}^2

                                                                    / {(R U' R' U)x2 (R' F R F')x2}x2

の 32手を考えると 20手で隅向き替えができるのはお得ですね。

私はまだまだ廻し慣れておらず、つい普通の手順で揃えていってしまっていますが、できればこれらの手順をもっと活用していければ、と思っているところです。

posted by じゅうべい at 14:55| Comment(0) | 変形パズル