2023年09月29日

Grid Skewb の解法3:辺位置合わせ

わじまじさん(現:和嶋さん)大津大会振り返り、デザインが整っていて素敵ですね。このようにまとめておくと、あとで振り返ったときに懐かしく思い出せますね。過去をきちんと振り返られることは未来を目指す上で有用なことですから。ノーベル賞につながる研究(たとえば質量分析の田中耕一さんとか)も、間違って得られた不思議な結果を、実験ノートにきちんと残した記録を振り返ることで成功に繋げたものが多いですね。

の解法動画を改めて見直してみましたが、みなさん、変形状態のまま解いていますね。その方がスキューブの解法をそのまま流用できて良いのでしょうけど、私にはその空間把握が難しすぎました。

ということで私は、四隅の傾きを整え、向きを合わせ、というやや独特な手順で解いていきます。次は辺の位置合わせとなります。

回転記号を再掲します。J式 スキューブの回転記号を流用した
GridSkewb_notation_ew.jpgGridSkewb_notation_swg.jpg

e, w, n, s 回転は全て上面中央を含むように廻すところ、g 回転のみ、下面中央を含むように廻します。反時計廻しの場合は "-" を添えます。同じ手順を繰り替えることを、たとえば 3回繰り返すのであれば、べき乗と同様に "^3" などと示します。

さて、辺の位置合わせですが、まず簡単なのは十字交換、上面が前奥の交換、下面が右左の交換となります。
GridSkewb2_Edge1CrossTopBase'.jpg
e- s- e n- w s- w-、スキューブでの縦交換上板Rubik'skewb 上級編 の不完全一面で紹介されている手順ですね。実は矢印が書いていない部分の辺がむしろ動き、同時に四隅も対角交換する手順です。右上の辺は反時計捻り、左上の辺は時計捻りして、どちらも上面が前面を向くように捻られますが、それはあとで直せば良いでしょう。

こんな素直な二点交換×2 はそうそう発生しないように思われるかもしれませんが、このパズルは意外と移動制限が厳しいので、意外と普通に発生します。覚えておいて良いでしょう。

どこまで回転していいのか、混乱しやすい廻し方ではありますが、隅や辺の合致具合で判断できるところもあるので、頑張りましょう。

三辺時計移動:奥下→前下→左上→奥下
GridSkewb2_Edge3OCW.jpg
上面と下面を移動してくれる三点移動が見つかって助かりました。手順は

(s- e n- e- w s- w- s)^2、スキューブの縦交換E上げ手順で、これもRubik'skewb 上級編 の不完全一面の手順としてしられたもの(最後の s は向き合わせ)ではありますが、スキューブではこれを廻す状況は発生させたくないものですね。

前上と奥上の辺が時計捻りされ、また移動する三辺のうち、前下→左上が反時計捻り、左上→奥下が時計捻り、といろいろやらかしてくれますが、まずは位置を合わせることが重要なので目をつぶりましょう。

ちなみに、一巡目の末尾の s と二巡目の最初の s- はキャンセルされるので実際は、

s- e n- e- w s- w- e n- e- w s- w- s の 14手手順となります。

三辺反時計移動:奥下→左上→前下→奥下
GridSkewb2_Edge3CCW.jpg
単純に三辺時計移動の逆手順、(s- w s w- e n e- s)^2 です。これもキャンセルがかかって、実際には

s- w s w- e n e- w s w- e n e- s の 14手手順となります。辺は時計移動と逆に捻られるますが、これもまずは気にせず、位置合わせにいそしみましょう。

ちなみに、隅対角交換の e- s- e n- g- n g を 2回廻しても 奥下→左上→前下→奥下 の三辺反時計移動ができます。これは奥上が時計捻り、右上が反時計捻り、と移動しない辺の捻られる場所が上記の手順と変わります。使い分けられれば有効とも思いますが、あまり気にせず、まずは単純に位置合わせをしてしまうのが良いと思います。

w 回転も g 回転も同様に廻す面の把握がしにくいので、慣れた手順を廻すのが良いと思います。

意外と辺移動は 2回くらいで位置が揃います。あまり派手には移動できないようです。どうにか頑張って手順を廻していきましょう。

posted by じゅうべい at 15:26| Comment(0) | 変形パズル

2023年09月28日

Grid Skewb の解法2:解法動画と隅向き替え


の解法動画は、Manqube Manish Rathod さんPuzzleMax さんMundo Cubyk さん(スペイン語)、アレクセイ=ヤリギンさん(ロシア語)、などなどいろいろ見つかりました。みなさん、変わったパズルがお好きなようで、Time Machine とか David Gear とか Siamase Cube とか、いろいろなパズルの解法動画が上げられていて興味深かったです。

ただ、みなさん、すんごく派手に持ち替えるのです。どこを廻しているのか、見ていても全然分からなくなっちゃって、ごめんなさい、私には分かりませんでした。ただ、動画の方が分かりやすく感じる方は、ぜひご覧になってみていただければと思います。

回転記号を再掲します。J式 スキューブの回転記号を流用した
GridSkewb_notation_ew.jpgGridSkewb_notation_swg.jpg

となっています。e (east), w (west), n (north), s (south) は全て上面中央を含むように廻すところ、g (gon, 艮(うしとら)より)回転のみ、下面中央を含むように廻します。反時計廻しの場合は "-" を添えます。本当は右肩付なのですが、このブログでは難しいので無理しません。

同じ手順を繰り替えることを、たとえば 3回繰り返すのであれば "^3" などと示します。べき乗と同様で、本来は右肩付である表記を、それができない環境で示すための記法です。元となった島内先生の記法は、島内先生が群論を専門とする数学者でしたので、数学的なものとなっていて、それを流用させていただいています。世間一般では "x3" などの記法をよく見かけますね。

解法の順序としては、

1. 変形を解除して、隅の傾きだけは整えてフロッピーキューブのような形状にする。辺の捻りは気にしない。
2. 隅の向きを臍(へそ、中央部の小片)に合せる。
3. 辺の位置を揃える。
4. 辺の捻りを合せる。

となります。

1. の隅の傾きは頑張ってみて下さい。いろいろいじっていればどうにかなります。たとえば二隅捻りの
GridSkewb_es-e-.JPG
は e- s- で隅の傾きを整えられます。

GridSkewb_e-s-e.JPG
のように、右奥隅だけ盛り上がっている場合は e- s e で直せます。

また下図のように、隅の位置が合っていない場合は(反転している場合も対面色、赤橙・緑青の並びで把握できます)
GridSkewb_cornersEx.jpg
e- s- e n- g- n g で合せることができます。e 回転と g 回転がごっちゃになりやすいのですが、頑張って廻しましょう。

さて、2. 隅の向き替えです。前回説明したように、臍(へそ)
GridSkewb_centers.jpg

の向きは替えられないので、臍の向きに四隅の向きを合わせていくことになります。私は白上で解きますが、黄上で解いても問題ありません。

基本は (e- s-)^3 です。スキューブでもぜひお試し下さい。スキューブなら上面四隅と下面の前と右の合計 6隅が全て反時計方向に捻られます。
Skewb.JPGSkewb_(e-s-)x3.JPG

私のスキューブは日本配色なので、青底・奥黄となっているのはご容赦を。さて、Grid Skewb の隅はスキューブの板に相当するので、スキューブの隅が捻られることは、ここでは無関係のように感じられるかもしれませんが…。

上面のロゴ”魔方格”をよ〜くご覧下さい。180°反転していることがお分かりになるでしょうか?

この手順を実際に Grid Skewb で実行すると、
Skewb_(e-s-)x3_Grid.JPG

前左、前右、奥右の三隅が反転することが分かります。辺(スキューブの隅に相当)も当然のことながら捻られますが、ここでは気にしないで下さい。(e- s-)^9 などとすれば、その捻りも全て解消されて三隅だけが反転しますが、さすがに手間がかかりすぎますね。実際に解くときには、もともとこれらの辺が適当に捻られているはずなので、あまり気にせず、まずは隅向きを揃えましょう。

1. 三隅向き替え(以下、反転している隅を薄青に着色しています。黄は明度の関係で見にくそうに感じたので)
GridSkewb1_CornersTurnA.jpg
臍と左奥の向きが合っていて、あとの三隅が反転している場合が基本形で、ここから (e- s-)^3 で四隅と臍の向きが揃います。

2. 対隅向き替え
GridSkewb1_CornersTurnB1.jpgGridSkewb1_CornersTurnB2'.jpg
対角位置の二隅の向きを変える場合は、左図のように、その二隅が左奥と右前になるように置いて (e- s-)^3 を廻すと右図になるので、y2 (水平 180°回転)持ち替えをすると 1. の状態となります。

3. 一隅向き替え
GridSkewb1_CornersTurnC1.jpgGridSkewb1_CornersTurnC2.jpg
一隅だけ向きを変えるときには、左図のように、その一隅を右前において (e- s-)^3 を廻すと右図になるので、y (水平 90°時計回り回転)持ち替えまたは y- (水平 90°反時計回り回転)持ち替えをすることで 2. の状態となります。

→ '23.10.5 訂正:反転隅を左前にして (e- s-)^3 で 4. の隣隅向き替えになるので、そこで e- s- e n- e- n- を廻すと揃います。

4. 隣隅向き替え
GridSkewb1_CornersTurnD1.jpgGridSkewb1_CornersTurnD2.jpg
隣接している二隅の向きを変える場合は、左図のように、その隣接二隅を手前に置いて (e- s-)^3 を廻すと右図になるので、y持ち替えをすると 3. の状態となります。

手間に感じられるとは思いますが、この廻しにくく、変形が激しいパズルにおいては、分かりやすく確実な方法が完成への近道に感じられています。スキューブの手順が利用できない部分でもありますし…。

ただ、この隣隅向き替えは、e- s- e n- e- n- の一発で向きを合わせられることが分かりました。後述する三辺移動の手順の一部の


s- e n- e- w s- w- s でも揃えられるのですが、この 6手手順が一番簡単ですね。これだけは隅向き変えて順として、独立して覚えて良いでしょう。

(e- s-)^3 は廻しやすく、間違いにくい手順なので、お勧めします。実は e s- e- s- e- s- e でも、辺の捻りに関してまで完全に同じ結果が得られますが、それなら廻しやすくて覚えやすくて手数まで少ない (e- s-)^3 の方が良いと思います。

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posted by じゅうべい at 13:42| Comment(0) | 変形パズル

2023年09月27日

Grid Skewb の解法1:回転記号

Leandro Martín López さん(メガミンクスの単発・平均の世界記録保持者)がメガミンクスを 19.52秒で解いた動画が話題になっていますね。

いやぁ、見ていても何をやっているのか全く分かりませんね。そもそも、3x3x3 で 30秒を切ったことがない私からしたら、メガミンクスの本記録の 31.33秒ですら、何が何だか分かりません。

私としては、自分なりにそこそこの速さで廻せたらもう充分です。野球でもヴァイオリンでも勉学でも秀でることがなかった私ですし、人より秀でることがなくても、人生が自分なりに楽しめたらそれで悪くないのでは、とも感じています。

さて、6/16 にも軽く紹介した Grid Skewb
GridSkewb.JPG
解けるようになったので解法を紹介したいと思います。

回転記号はスキューブと同様で、
Skewb_rotation.jpg

この J式表記でやらせていただきます。反時計回りでは各記号に"–"が付加されます。

いえ、構造としてスキューブと全く一緒なので、スキューブと同様にすれば解けるものではありますが、変形が激しく、向きや位置、回転などがいろいろ把握しにくいので、独自のパズルと思って解いた方が楽しいと思います。ですので、カテゴリー分けとしては変形パズル一般の Pyramorphix にしておきます。

実際には、e, s 廻しが基本で、特別な手順で g, n, w を廻すことがあるといった感じです。Grid Skewb の絵で回転記号を示すと
GridSkewb_notation_ew.jpgGridSkewb_notation_swg.jpg

g 回転が分かりにくいのですが、他のは全て上面中央を含むように廻すところ、g 回転のみ、下面中央を含むように廻します。

名称は
GridSkewb_corners.jpg
これを隅とします。スキューブではセンター(J式では”板”)に相当します。向きが正と裏(180°反転状態)の 2通りあります。

GridSkewb_edges.jpg
これを辺とします。スキューブではコーナー(J式では”隅”)に相当します。向きが正位置に対し、時計捻り(+)と反時計捻り(–)と、合計で 3通りあります。

GridSkewb_centers.jpg
これを臍(へそ、海永氏のスキューブの解法より)とします。これも実はスキューブのセンターに相当しますが、このパズルでは基本的には動きません。ですので、隅の向きはこの臍に合せていくことになります。

緑前、白上、赤右で廻してみると
GridSkewb_e.JPG GridSkewb_e-.JPG GridSkewb_s.JPG GridSkewb_s-.jpg
左から順に、e, e-, s, s- で廻しています。

つづいて、
GridSkewb_n.JPG GridSkewb_n-.JPG GridSkewb_w.JPG GridSkewb_w-.JPG
左から順に、n, n-, w, w- で廻しています。

さらに
GridSkewb_g.JPG GridSkewb_g-.JPG
左から順に、g, g- で廻しています。g は実質は w と同じ回転にはなりますが、持ち替えなどを考えると別に用意した方が良いように感じています。

どこまで廻せばいいかは、ある程度の慣れが必要です。廻し足りない状態で他の軸を廻すとあっさり崩壊するので気をつけましょう。

The Cubicle のこの商品ページのレビューで、二人が五つ星、二人が星一つで真逆の評価をしていますが、どちらの主張も分かります。パズルとしては面白いのですが、ちょっとした引っかかりであっさり完全崩壊します。

私の奥さんもいじってあっさりバラバラにしてしまい、
「これは商品としてどうかと思う」
と言っていました。娘も二回完全崩壊させて、以後は触るのを怖がるくらいになりました。

でも、面白いパズルですよ。私は気に入りました。

さて、変形してこんな形
GridSkewb_es-e-.JPG
になることが頻発しますが、たとえばこれは e s- e- を廻しただけなので、逆手順を廻せば戻ります。この e s- e- または e s e- あたりは隅向き合わせで頻繁にお世話になるので覚えておくと良いでしょう。

ちなみに、この隅向き、スキューブで言えばセンター反転状態は、上記にも示したように、正向きと裏向き(180°反転状態)しかありません。ですので、隅向き(センター)を反転してしまう手順は、同じ手順を 2回繰り返せば元に戻せます。辺向き(スキューブのコーナー)を片方を正時計、もう一方を反時計に捻る手順で隅向きが反転してしまう場合、同じ手順を繰り返すことで、捻りはそれぞれ逆になりますが、隅向き(スキューブのセンター向き)は元に戻ります。これは覚えておいて良いでしょう。

posted by じゅうべい at 17:34| Comment(0) | 変形パズル