北村暁さん、BLD Master FTO 成功、おめでとうございます!まず間違いなく世界初でしょう。次は Curvy Starminx の目隠し解きにも挑戦してみていただきたいと思います。…私は Curvy Starminx は開眼でもまだ解いたことがありませんが。
望月シンジさんのトマソン:純粋階段にも驚かされました。超芸術トマソンについてはウィキペディアにも記事がありますが、私も大学時代に古本で読んで知っただけで(知り合いに赤瀬川原平や南伸坊のファンがいた記憶があります。『笑う写真』も読みました)、当時のトマソン旋風は知るよしもありません。
さて、Speedcubing Advent Calendar 2021、掉尾(とうび)を飾ったのは tobutobu1212さんの”青クロスと色弱について”。私も何度か色弱ネタで記事を書いているので、ついついコメントも書き込んでしまいました。
私の過去記事で言えば、色合いについて,メガミンクスの色合い,WCA大会規則の表記について,配色の提案について、などが色弱とキューブの関係についての記事ですね。WCA大会規則については今年、2021年5月の改訂版で対応してくださったようで、該当の 3d1b の表記が「必要な色数を識別することができない色覚障害者の競技者は〜」に変更されていました。私のメールでのお願いが届いたのかは分かりませんが、ご対応いただきありがとうございます。嬉しく思います。
キューブ系パズルを解く上での私の色弱対策はもちろんステッカーを貼り替えることですが、赤が濃いめ、橙が明るめのパズルを選ぶことでそこそこどうにかなるようにも感じています。傀儡魔法1号を解くときに色で苦しむことはなかったのは、ステッカーレスの色合いの問題ではなく、色より形状変化が重要のパズルだからでしょう。ただ、MoYu 製は色合いが見やすいのかもしれませんね。
tobutobu1212さんのブログ記事のコメントにも書きましたが、現在は医学部を含めた医療系及び獣医学科で、色弱を理由に入学を拒否されることはありませんし、該当の職に就くことにも支障ありません。検査結果はデジタル表示された数値で判断します。
一方で、色弱の方が色合いのデザイン系で働くことには困難を生じることは想像に難くありませんが、意外なところで、地質学や鉱物学では地層や鉱物を鑑別するに当たって灰色と薄緑の識別が重要になるので、色弱の人は苦労すると思います。宝石鑑定士として働くのも難しいかもしれません。
Excel のグラフで、散布図などの 3系統めのシンボル色が黄色なので、背景色が白でそのまま 3系統めを描かれると、明度の問題で見にくくて仕方がありません。配慮ができる場合はその黄色を赤に変えましょう。同僚が茶色と緑でグラフを作ってきたときには見る気をなくしました。日本人で 5%、欧米人ではもっと多くの率で赤緑色覚障碍者が存在するので、配慮があった方がいろいろスムーズにことが進むと思います。
かつて在籍した研究室の教授が、私が見にくいと思ったパワーポイントのスライドの色使いについて文句をつけていたので、おそらく彼も赤緑色弱者だったと思いますが、それを指摘することで私の弱点を晒して彼に攻撃の機会を与えるのは危険だと感じ、そのことは話しませんでした。人の弱点を攻撃するタイプの人に、わざわざ弱点を晒す必要はありません。身近な、理解ある人だけに「実は…」と話すようにしましょう。私は仕事の上で、色弱を明かさなければならなかったトラブルに遭遇したことはなく、基本的に家族以外には話していません。
学生なら、化学実験でフェノールフタレインの滴定で苦労すると思います。仲間に色を見てもらいましょう。専門課程に進めば、いまどきは pH はフェノールフタレインではなく pHメーターで測定するので問題ありません。
WCA大会規則 3d1 にある通り、視覚障碍者でも一色色覚者でも赤緑色覚障碍者でもキューブ系パズルは楽しめ、対応もしてもらえます。多少の手間は頑張りましょう。ステッカーを自分好みに貼り替えるのは、少なくとも私には楽しいことですし、高速キューブにもたとえばGAN11 M Pro や YJ YuSu V2 M など、ステッカー式のキューブがあります。好みのキューブがステッカーレスなら、その上から自分好みのステッカーを貼ってしまいましょう。ルール上、禁止されていません。手順書などは慣れれば変換できますし、動画もどうせ黄クロスと白クロスがあるので、気にしだしたらキリがありません(もちろん青クロスの方もいます)。いろいろやっていけば、むしろ デュアル(固定底面色以外に、上面色を底面色に持ち替えて解くことも行うこと)や CN (color neutral、底面色などを固定せずに解くこと)への近道になるかもしれません。
色覚障碍が発覚したら驚いて、場合によっては落ち込むかもしれません。ですが、世間には意外にトラブルを抱えつつ、それを表には出さずにどうにか対応して生きている人々が多数います。赤緑色弱は工夫によって充分に乗り越えられます。分かったら、むしろ対応を検討できるようになります。頑張っていきましょう。