2021年10月15日

先々週のトリコン333のすごいスクランブル

先々週のことになりますが、TORIBO Contest 2021 後半期 第13節 の 333 の第5試技、すごいスクランブルが出ました。いえ、その週の平均記録が 50秒ちょいの私が何を言うのもおこがましいのですが、333 でなかなか 1分を切れないという方々に、もしかしたら参考になるかも、と思いました。

さて、そのスクランブルは
F U2 B U2 F B2 U D R U B2 D' R2 U2 B2 U' R2

さて、初めての方のために。私はこのブログでの解法を”J式”と称しています。
その333 の回転記号としては 島内先生由来の方位を基準としたものを用い、/ の後またはカッコの中に WCA式表記を添えることにします。
notation_tb.jpgnotation_ew.jpgnotation_sn.jpg
さて、TORIBO コンテスト(通称:トリコン)ではジャッジ(審判)およびスクランブラー(かき混ぜる人、繁体字を日本の漢字にすると転乱員、簡体字では打乱員)を参加者が兼ねるのですが、自分でスクランブルしている時点で不穏さを感じましたね。対面を入れ違いに廻したり、180°回転が U2・B2 ばかり続いたりしていました。

スクランブルした結果が以下の通りです。
333Trial21L13_5aF.jpg333Trial21L13_5aH.jpg
右は透過して奥・左・下面が見えるようにしたものです。日本配色で青クロス、緑前なのはご容赦を。

恐ろしいですね。クロス(底面十字)について、赤橙が最初から揃っている上に、s2 (F2) で緑、n- (B') で黄(世界配色なら青)も揃ってしまい、センター合わせも必要ありません。さらに、スクランブル終了時点での右下隅の黄橙の組は s2 (F2) で左上に動いてそのまま F2L の B1 で揃えられます。左前なので (w- t- w t)^3 (WCA表記で (L' U' L U)x3) ですね!そのままでは左前に入ってしまうので、黄橙の定位置、左奥に入れるためにちょっと変形して (w- t- w t)^2 w- t-2 w t n- t n / (L' U' L U)^2 L' U'2 L U B' U B、さらに、初手の s2 (F2) で右前の辺が赤緑になり、その組となる赤緑青は左前下に沈みますが、黄橙の B1 を廻している間に浮き上がってくることも予想できます。ここまで、多少慣れた人なら 15秒のインスペクションで充分に読めることでしょう。

もちろん、黄橙を B1 で左奥に入れるときの最後は w- t-2 w n- t2 n とやるべきなのでしょう。その辺が読めてないのはまだまだだなぁと思います。

ともあれ、黄橙を左奥に入れるところまでやってみましょう。
s2 n- (w- t- w t)^2 w- t-2 w t n- t n / F2 B' (L' U' L U)^2 L' U'2 L U B' U B で
333Trial21L13_5bF.jpg333Trial21L13_5bH.jpg
t- (U') で赤緑青が右前の辺の上に乗り、B1 でそのまま入りますね。右前:(e t e- t-)^3 (WCA表記で (R U R' U')x3) です。
333Trial21L13_5cF.jpg333Trial21L13_5cH.jpg
おや?緑橙の位置が怪しいですね。t2 (U2) から F2L の T, w- t- w (L' U' L) で左前に入ってしまいました。
333Trial21L13_5dF.jpg333Trial21L13_5dH.jpg
最後の黄赤も見やすいですね。右前上が黄赤白なので、右上奥の黄赤が見えてる隅の背面色が底面色の青であることは持ち替えて確認する必要がありません。黄赤の辺も、F2L で右前・左前・左奥が終わっているので、左上の黄だけ見えているのがそれであることが持ち替えて確認しなくても分かります。F2L の S, t e- t2 e t2 e- t e (U R' U2 R U2 R' U R) で F2L が完了します。

'21.10.18に追記:これは辺の上面色、白4つが見えているからできる判断でした。もし赤白の辺が赤だけ見せていたら、持ち替えての確認が必要になりますね。訂正します。

333Trial21L13_5eF.jpg333Trial21L13_5eH.jpg
普通の方はここで OLL 16 (J式一覧で言えば aS の h(horizontal, 横向き))を廻すのでしょうけど、私は CLL (Corners orientation and permutation in Last Layer) を廻します。赤黄・赤緑の組は正位置、左前の黄は黄橙しかあり得ません。それは左奥にあるべきなので、左列に異位置がきており、持ち替えて確認する必要なくこのまま Niklas, e- t w t- e t w- t- (R' U L U' R U L' U') を廻せばいいことが分かります。が、最後の t- (U') を廻す前に確認してみましょう。
333Trial21L13_5fF.jpg333Trial21L13_5fH.jpg
あらあら、前と右の側面に緑がないので、緑が奥の三角移動が確定し、黄は右→前移動なので正時計移動、つまり、
三角正NS上げ
t- s e2 t- e- s t e2 t- e- s- t e t s- t (U' F R2 U' R' F U R2 U' R' F' U R U F' U)
で完成となります。これは慣れれば高速に廻せる手順なのでお得でしたね。

クロスが超短手順で、F2L #1か #2 まで読めて、その後も持ち替えなしで判断できる状況が続き(#4 は私なら持ち替えて確認した方が速そうです)、超ラッキースクランブルだったと思います。これがこの週の最速だった方も多かったようです。

…私は F2L #1 の黄橙を見落としていて(ってすごいですね)緑赤に注目していて、クロスが終わった後で黄橙に気付いて慌てて廻す、などということをして、いろいろもったいないことをしました。それでもこの週の最速を出しましたが、いいスクランブルでこそ、落ち着いて廻したいものですね。


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posted by じゅうべい at 17:33| Comment(0) | 手順333