2021年09月30日

Master FTO の試し解きの続き

四階面転八面体、Master FTO
MFTO_VBWO.JPG
試し解きの続きです。スクランブルは FTO Notes

Example 1: L’ U’ R BL F’ R’ L BL’ U B’ D L B’ F’ R’ BR’ BL BR F’ D’ BR’ BL U D’ BR

を全て内層1層廻ししたもの、つまり、以下の回転記号、
MFTO_notation'''.jpgMFTO_notationInner.jpgMFTO_notationSj'.jpg
で言えば、全て j の添え字付で廻しています。J式表記に変換すると、

wj- sj- ej ij bj- ej- wj ij- sj tj- aj wj tj- bj- ej- nj- ij nj bj- aj- nj- ij sj aj- nj

(j を抜いてすっきりさせると、w- s- e i b- e- w i- s t- a w t- b- e- n- i n b- a- n- i s a- n)

白上・青前でスクランブルすると以下の通りになります。
MFTOex00_ScrF.jpgMFTOex00_ScrH.jpg
右側は縦180°回転、全体の持ち替え記号
FaceTOct_notation_object.jpg
で言えば x2 した図で、これを毎回併記するようにしています。前回、このスクランブルから翼合わせ・辺入れをして、
MFTOex12_EdgeR4F.jpgMFTOex12_EdgeR4H.jpg
にまでもってきました。普段は私は青を上面で合わせますが、せっかくなので上図を x2 して(右図が左に、左図が右に)、青を前面で揃えてみましょう。

s- n e- で 4 を作り、i で 4-2 の形になります。t で 4 のうちの 3 を 2 でどかして、前面に 3 を作り、s t で合わせたくなりますが、青の周囲は時計回りに白→橙→紫が正しい順序なので、それでは合わなくなってしまいます。この場合は、s i / t i- t- が定跡ですね。
MFTOex13_FirstSixF.jpgMFTOex13_FirstSixH.jpg
できた青の六つ組(FTO での J式呼称です)を下面に wo、つまり w回転をするように全体を持ち替えます。W(左前面)・N(右背面)に人差し指を添えると廻しやすいですね。すると、
MFTOex13a_FirstSixWoF.jpgMFTOex13a_FirstSixWoH.jpg
赤面がすでに前面に 4(塁x2, 辺x2)まで揃っていますね。この場合はラッキーでしたが、最初と二番目の六つ組を合わせるときには中(センター)まで合わせて揃えてしまうのが良いと思います。t i t- で二つ目の六つ組の5-塁の形になります。

FTO2ndC_5rui_Ls.jpg
赤面の周囲は時計回りに白→紫→緑が正しい順序なので、今は反転してしまっています。反手順:t- s- / t s t- で、
MFTOex14_SecondSixF.jpgMFTOex14_SecondSixH.jpg
赤面の六つ組も揃いました。

青隅は二つ入っていて、さらに n- で三つ目も入りますが、位置が合っていませんね。b- n- b- n b- n- で揃えます。さらに b で、
MFTOex15_BlueCornerF.jpgMFTOex15_BlueCornerH.jpg
赤隅は時計廻しのみで向き替えは必要なく、助かりました。三隅時計廻し:s- i s- e- s i- s- e s- で、
MFTOex16_RedCornerF.jpgMFTOex16_RedCornerH.jpg
赤面の辺位置も、赤が上面・青が右前面になるように持ち替えて(左前上と右奥下を持つとくるっと廻せます)、(e t- e- t-)^2 で合わせておきましょう。面をまた戻すと、
MFTOex17_RedEdgesF.jpgMFTOex16_RedCornerH.jpg
だいぶ揃ってきました。黄・桃面の塁合わせについては、当時の記事は残念ながら間違って上書きしてしまったようです。2pairInner.jpg

の移動が ej n ej- n- でできます。これは Kemi さんのサイトの”隣り合わない 4面を揃える”の手順に相当します。4手手順は楽で助かりますが、他の面に影響が出るので、この四階面転八面体 Master FTO の場合なら、青赤を揃えた後の黄桃においてしか利用できません。

さらに、内層回しは、この四階面転八面体 Master FTO では内層複層廻しで廻さなくてはなりません。e# n e#- n- です。三層廻して最外層の一層を戻すのが良いでしょう。廻し損ないが多発するので注意が必要です。
MFTOex18_PinkYellowBank.jpg
黄桃面が同時に見えるように、やや下からの視点で示します。正面が E(右下)面となります。桃面を S面(前面)にして、e# n e#- n-、続いて s- n で共役(セットアップ)して再び e# n e#- n-、共役を n- s で戻して、

もちろん、キャンセルが読めたら後半は、s- n (e# n e#-) n s と廻して構いません。

桃面も辺の三点反時計廻しをしておきましょう。桃が上面・白が前面になるように持ち替えて(左前上と右奥下を持つとくるっと廻せます)、(e t- e- t-)^2 で合わせておきましょう。さらに同方向にもう一度廻して、白が上面、赤が前面、紫が右前面になるように持ち替えて、
MFTOex19_PinkEdgeF.jpgMFTOex04_Wproc2F'.jpg
白紫橙緑面の塁合わせはかつての面転八面体の手順がそのまま使えます。なんと、内層1層廻しで問題ありません。これは廻しやすくてありがたいですね。

この場合は、e- (右前→奥上げ:(s n- s-) wj- (s n s-) wj) e、続いて w (左前→奥上げ:(s- i s) ej (s- i- s) ej-) w- で白面が揃います。eo (e 回転での持ち替え) で、
MFTOex20_WhiteBankF.jpgMFTOex20_WhiteBankH.jpg
t- w (左上げ 3点 3面移動:n t ((s- i s) ej (s- i- s) ej-) t- n-) w- t、to-(水平 120°反時計持ち替え)で、
MFTOex21_PurpleBankF.jpgMFTOex21_PurpleBankH.jpg
t (右前→奥上げ:(s n- s-) wj- (s n s-) wj) t-、io 持ち替えで黄面を前にして、
MFTOex22_BankEndF.jpgMFTOex22_BankEndH.jpg
三辺移動手順を二回廻すつもりでした。8手の3塁交換手順は ej, wj をそのまま内層1層廻しで廻せますが、辺移動手順は残念ながら内層複層廻し、ej, wj を e#, w# として廻さなければなりません。ミスがないように気をつけて廻しましょう。

ただ、ここから z- (奥上と前下を支えて反時計120°廻し)して、w- のあと、四辺平行交換
(w#- e# w#) e- (w#- e#- w#) e w- (e#- w# e#) w (e#- w#- e#) で辺が合いますね。w で共役を戻して、z で戻して、
MFTOex23_EdgeEndF.jpgMFTOex23_EdgeEndH.jpg
最後は 北村暁さんのセンター三点交換手順 の逆移動、s t- (n- sj- n sj-)^2 t s- で完成です。

ともあれ、翼と辺が合ってしまったら、塁 8手手順は内層1層廻しで廻せても、塁 4手手順と辺移動手順は内層複層廻しで廻さなければいけないことさえ気をつけたら、問題なく完成できるでしょう。

すっかり長くなってしまいました。「8月、八面体を廻しましょう」キャンペーンから一ヶ月遅れになりましたが、なんとか9月中にこの四層面転八面体、Master FTO についての記事を終えることができました。お付き合いいただき、ありがとうございました。

posted by じゅうべい at 14:43| Comment(0) | Octahedron

2021年09月29日

Master FTO の試し解き

四階面転八面体、Master FTO
MFTO_VBWO.JPG
準備に時間が掛かってしまいましたが、試しに解いてみたいと思います。スクランブルは FTO Notes

Example 1: L’ U’ R BL F’ R’ L BL’ U B’ D L B’ F’ R’ BR’ BL BR F’ D’ BR’ BL U D’ BR

を全て内層1層廻しで廻してみることにします。つまり、以下の回転記号、
MFTO_notation'''.jpgMFTO_notationInner.jpgMFTO_notationSj'.jpg
で言えば、全て j の添え字付で廻すことにしました。R→e, BR→n, L→w, BL→i、はいつも通り(?)で問題ありませんが、この FTO Notes の 持ち方にはやや癖があるので、U→s, F→b, B→t, D→a、となるのでお気をつけください。J式表記に変換すると、

wj- sj- ej ij bj- ej- wj ij- sj tj- aj wj tj- bj- ej- nj- ij nj bj- aj- nj- ij sj aj- nj

(j を抜いてすっきりさせると、w- s- e i b- e- w i- s t- a w t- b- e- n- i n b- a- n- i s a- n)
となります。

白上・青前でスクランブルすると以下の通りになります。
MFTOex00_ScrF.jpgMFTOex00_ScrH.jpg
右側は縦180°回転、全体の持ち替え記号
FaceTOct_notation_object.jpg
で言えば x2 した図となります。これを毎回併記するようにします。…見て分かるものでもないので、実際に廻していただいた方が良いでしょう。

内層廻ししかしていないので、隅位置は変わっていません。青と赤に至っては中(センター)まで揃っています。ですが、翼・辺を合わせていく過程で崩れるので、あまり気にしなくて良いと思います。

まずは翼合わせ、つまり
MFTO_wings.jpg
この組み合わせを揃えていきます。

左奥の紫赤と右下の橙桃はせっかく揃っているので、崩したくありませんね。うまくずらして揃えましょう。

まずは e- b- i t e&- で
MFTOex01_Wing1F.jpgMFTOex01_Wing1H.jpg
これはお得ですね。前上の青橙,右奥上の青白,左下の緑黄,奥下の赤緑と 4つも一気に揃ってしまいました。

続いて a- (緑赤よけ) n- (青白よけ) t (青橙よけ) b (緑黄よけ) e&- で
MFTOex02_Wing2F.jpgMFTOex02_Wing2H.jpg
前上で黄橙が揃います。あとは手順で合わせるしかありませんね。

以前紹介した翼合わせ手順、ij- (ej n ej- n-) ij (n ej n- ej-)
MFTOset_3Wings.jpg
は最初の ij- ej が e# となり、さらには e廻しで全体を持ち替える eo でも構わないことが分かりました。E面の三角形を把握しながら廻すと良いでしょう。下面が前面に来ることを意識するとなお確実です。I面(左背面)に左人差し指を当てると廻しやすい気がします。さらには、I面を左手で持って E3層廻ししても構いません。

最後も ej- ではなく、e&- と二層廻しにした方が廻しやすいでしょう。手順としては、

eo (n ej- n-) ij (n ej n- e&-)

となります。逆手順も

e& (n ej- n-) ij- (n ej n-) eo- にできますが、最後の持ち替えは不要ですし、その前の n- も翼合わせに関係なく、さらにもう一つ前の ej- も二層廻しで構いません。すると、

e& (n ej- n-) ij- (n e&)

が翼合わせの逆手順となります。だいぶ短くなりましたね。残念ながら正手順は初手の持ち替えをしないと下段廻しなどが発生して廻しにくく、また移動も把握しにくいので、私は eo 持ち替えをしてから廻すようにしています。

さて、この逆手順、e& (n ej- n-) ij- (n e&) を廻すと
MFTOex03_Wproc1F'.jpgMFTOex03_Wproc1H'.jpg
続いて t- のあと、再び逆手順、e& (n ej- n-) ij- (n e&) を廻すと
MFTOex04_Wproc2F'.jpgMFTOex04_Wproc2H'.jpg
と翼の組み合わせが全て揃いました。

続いて辺をその翼の組に入れていきます。これも前に紹介した手順、(e t& e- t&-) ej (t& e t&- e-) ej- で
MFTOmove_3EdgeNSI.jpg
と、この図で示す三点交換が実現できますが(いつもと表示向きが異なっているのでご注意を。中央の三角が T面(上面)です)、最初の e は移動に関係がないので不要で、最後は e& にまとめられますね。中央の ej は e& e- なので、書き直すと、

(t& e- t&-) e& (e- t& e t&-) e&-

すごくすっきりしました。内層回しがない(?)だけで全然廻しやすさが違いますね。逆手順もそのまま、

e& (t& e- t&- e) e&- (t& e t&-)

コミュテーター手順っぽいけど絶妙に違うところも何とも言えません。

さっそく廻してみましょう。s のあと逆手順、e& (t& e- t&- e) e&- (t& e t&-) で
MFTOex05_Edge1F'.jpgMFTOex05_Edge1H'.jpg
つづいて n s- 正手順、(t& e- t&-) e& (e- t& e t&-) e&- で
MFTOex06_Edge2F.jpgMFTOex06_Edge2H.jpg
e- s- n- i- 逆手順、e& (t& e- t&- e) e&- (t& e t&-) で
MFTOex07_Edge3F.jpgMFTOex07_Edge3H.jpg
さらに a- b- a- s 逆手順、e& (t& e- t&- e) e&- (t& e t&-) で
MFTOex08_Edge4F.jpgMFTOex08_Edge4H.jpg
と、黄青赤桃面の辺が翼の組に入りました。最後の場合は、青橙青→橙青橙→青青青、と三点交換によって疑似二点交換を実現しています。

続いて白緑橙紫面ですね。x2 持ち替えで上の右図が前上右左を示すように変わります。そこから、

s i- 正手順、(t& e- t&-) e& (e- t& e t&-) e&- で
MFTOex09_EdgeR1F.jpgMFTOex09_EdgeR1H.jpg
i w a- i 正手順、(t& e- t&-) e& (e- t& e t&-) e&- で
MFTOex10_EdgeR2F.jpgMFTOex10_EdgeR2H.jpg
b- w i e n- 逆手順、e& (t& e- t&- e) e&- (t& e t&-) で
MFTOex11_EdgeR3F.jpgMFTOex11_EdgeR3H.jpg
e s- a w i 正手順、(t& e- t&-) e& (e- t& e t&-) e&- で
MFTOex12_EdgeR4F.jpgMFTOex12_EdgeR4H.jpg
全ての辺が翼の組の間に入りました。

あとは普通に面転八面体、Face-turning Octahedron として解けば良いですね。で済ませても良いのですが、多少気をつけるところもあるので、また次回に説明したいと思います。

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posted by じゅうべい at 15:08| Comment(0) | Octahedron

2021年09月24日

スクエア1では薬指使いは高頻度

スクエア1の競技人口がなかなか増えないのは残念です。“形を変える炎みたいでカッコいい!”のですが…。

そのスクエア1、考えてみれば左右の薬指、使いまくりですね。つねに "/"、右面 180°回転を廻し続けないといけないので(前→奥、奥→前の“交互スラッシュ”がお勧めです)、持ち替えをしている余裕はなく、上段時計廻しは右人差し指トリガー、上段反時計廻しは左人差し指トリガーとなります。そこで下段は時計廻しが右薬指トリガー、反時計廻しが左薬指トリガーとなりますね。上下段同時廻しも人差し指と薬指で一緒に同じ方向に廻します。5, 6 廻すときだけ、人差し指→中指のダブルトリガーになります。下段の 5, 6 廻しは薬指→小指のダブルトリガーですね。

もちろん、速い人の指使いをきちんと検証したことはなく、生で教わったこともないので我流ではありますが…。

改めて確認してみると、意外にいい加減に廻していました。

たとえば、上時計
U_Clockwise.jpg
/ (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) / (1, 0) / (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) / (-1, 0)

下段反時計廻しはもちろん(?)左薬指トリガーなのですが、下段時計廻しは / で降ろした人差し指がちょうどいい位置にいるのでその人差し指で廻していました。そのために右手人差し指と親指を無意識に手前にずらして持ち替えているようです。

ちなみに上記手順は後半を逆に回して問題ありません。

/ (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) / (1, 0) / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / (-1, 0)

交互スラッシュをやっていると、途中の (1, 0) / では奥→前回転になるので人差し指が上段にあります。すると持ち位置が変わらない左薬指から廻した方が都合が良く、流れで右人差し指での下段時計廻しもやりやすくなります。

このあたりはたとえば隅移動の 上右・下対角
U_Right_D_Diag.jpg
/ (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) /

などでも同様だと思います。これも / (0, 3) / (0, -3) / (0, 3) / (0, -3) / で廻してもいいのがお得ですね。

ということで、使える指を工夫してみたらいろいろ廻しやすくなります。左手や薬指・小指で廻すことはそんなに大変なことではありません。ぜひぜひやってみましょう。

posted by じゅうべい at 13:02| Comment(0) | Square-1