2021年06月30日

David Gear の回転記号

デビッドギア、David Gear's cube
DavidGear左黄右列青白.JPG DavidGear歯車小回転.JPG
について回転記号を用意しました。基本はいつも通り、島内先生の S式に由来した J式表記です。
DavidGearNoteETS'.jpgDavidGearNoteWNB'.jpg

歯車を廻さなければ普通の 2x2x2 なので、実質は左の t (WCA表記で U), e (WCA表記で R), s (WCA表記で F)だけで充分なのですが、意外と逆側を廻す機会もあるので、中央の w (WCA表記で L), n (WCA表記で B), b (WCA表記で D)も用意しました。それぞれ、その面を正面に見たときに時計廻しすることを示し、反時計廻しをする場合は"–"を本来は肩付きで表記しますが(数学の逆行列の"–1"を略記したもののようです)、このブログでは肩付きを利用出来ないのでそのままで示します。これは WCA表記の" ' "(アポストロフィーで代用していますが、本来はプライム記号だそうです)に相当します。

DavidGearNoteGear'.jpg

歯車の回転については、世間の動画では G (反時計廻しは G' )で表すものが多いのですが、他の面回転とは全く異なりますし、隅歯車を一箇所回転させれば他が全て連動するのもあり(隅歯車は全て同方向、面歯車は全て反対向きに廻ります)、一面分(120°)時計廻しを "+"、反時計廻しを "–" で表すことにします。…その反時計廻しの矢印がものすごく見にくくて申し訳ありません。他の色も試しましたが、どれも見にくくて諦めました。

e – と e– が全く異なることが混乱を生みそうですが(一つめが右面時計廻しのあと歯車を反時計廻し、二つ目が右面を反時計廻し)、長手順をできるだけ短く表すためなので、ご理解いただければと思います。

隅歯車を一面分、つまり 120°廻すと面歯車は 90°、数学でいう一象限、逆方向に廻ります。隅歯車を 360°廻しても面歯車は 270°しか廻りません。つまり、隅歯車を時計回りに 120°を二回廻す ++ は、反時計回りに 120°廻す – とは、隅歯車の向きに関しては同じ結果となりますが、面歯車の回転に関して異なることになります。++ は – と異なる、というのは他の歯車キューブパズルでもよく見られますが、気をつけておきましょう。

隅歯車の廻し方は、右上奥を右手、左下前を左手で持って、同時に同方向に廻すのが良いと思います。この辺は慣れでしょう。

V1 を想定しているので、稜の小片は着色していません。

J式ではまず 2x2x2 部分を解いてしまいます。V2 なら稜小片を元に揃えてしまえば問題ないでしょう。歯車の向きを稜小片に合わせてから 2x2x2 として解けば、なお簡単だと思います。V1 はそうはいかないので、まず解いてみて、パリティーに気付いてから対応を考えることになりますが、それはまた次回に。


posted by じゅうべい at 11:04| Comment(0) | 歯車

2021年06月28日

David Gear、解法動画とその概要の紹介

Puppet1_solved.JPG Puppet1_te.JPG
について、魔術方塊 で取り扱っていたので、コメントで私のブログを紹介したところ、
> 日文實在看不懂,不過這個人的圖好漂亮。

とのお返事を頂きました。さっそく Google 翻訳にぶち込んでみたところ、

>日本語は読めませんが、この人の絵はとても綺麗です。

まぁ、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。ちょっと難しいパズルではありますが、面白いので、もっと広く楽しんでいただきたいと思います。

…私が参考にした中国語のサイトを紹介したら、魔術方塊で引用している動画サイトと同じ作者の手順だろうと指摘されました。全部読み切れてないのがバレバレですね。

さて、デビッドギア、David Gear's cube
DavidGear左黄右列青白.JPG DavidGear歯車小回転.JPG

についてですが、前回の私の紹介に二点訂正を。

1. 稜の小片にステッカーが貼ってある V2 と、その部分にステッカーが無い V1 は 3x3x3 と Void Cubeービックキューブ簡単6面完成攻略法”による解法はこちら)の比較と同じで、単純にどちらが難しいというのは難しいですね。3x3x3 でセンター交換状態になっていても Void Cube なら完成ですし、一方で、3x3x3 ではありえないパリティーに Void Cube なら戸惑うことになります。TORIBO の商品紹介にある「辺の中央にある最も小さなステッカーが追加されたことで難易度が変化しています。」という表現が冷静で正しいように思えます。

2. WCA公式競技に推奨できるほど速解きに向いている、とは言い過ぎのように感じてきました。充分に廻しやすく、引っかかることも少ないのですが、解くには長手順を多数回、辛抱強く繰り返していかないといけません。タイムトライアルにはちょっと厳しい気がします。いえ、そうか、7x7x7 などもそうかもしれませんね…。先週の TORIBOコンテストの 7x7x7 の上位4人は4分を切れているので、David Gear もやりこまれたら、それくれらいで解けるようになるかもしれません。

解く人が少なすぎて有用な手順が開発されていないことも大きいでしょう。一般に広まったら違ってくるかもしれません。

解法動画については、David Gear Cube Tutorial が一番明快かもしれません。二点交換x2 の一手順だけでひたすら合わせていき、隅歯車と面歯車が揃ったら 2x2x2 として解くという単純さです。確実に解ける解法は良いものだと思います。ただ、これは V2 だからできる(隅歯車の向きを稜小片と合わせてから始める)解法で、V1 では、たとえば魔術方塊の解法ページで紹介されている、一隅 120°向き替え状態が発生します。「終わったー!」と思ってこれが発生していたら目も当てられません。

V1 で解いている動画を見つけましたが、やっていることは同様でした。怖くないのでしょうか?あとこれらの解法では、なぜか前面回転(J式の s、WCA表記の F)を廻します。動画を見ていても、ものすごく廻しにくそうです。中国語の bilibili の動画でも同様でした。魔術方塊では 90°傾けてそこを上面廻しにしています。こちらが廻しやすいのは間違いなく、トリガー(人差し指ではじく廻し方)も使い放題となります。私もそちらの手順を愛用しています。

それにしても、私が入手してから 7年経って、世間の解法に全く進歩がないことに驚きました。このパズルは、様々な手順で面歯車がダイナミックに移動するのを楽しむものだと思っていました。

せっかくなので、このパズルについての私の異様な解法も紹介してみたいと思いますが、それはまた次回に。

posted by じゅうべい at 09:51| Comment(0) | 歯車

2021年06月24日

David Gear の紹介

QiYi Crazy Gear、別名 Crazy Gear Cube・瘋狂歯輪、
CrGearWRB.JPG 瘋狂歯輪.JPG
の次はやはり デビッドギア、David Gear's cube を紹介したいですね。
DavidGear緑上赤前.JPG DavidGear左黄右列青白.JPG

残念ながら TORIBO ではすでに品切れ、ZiiCube でも取り扱いがなく、The Cubicle と HKNowStore で辛うじて見つけました。興味がある方は早めにお買い求めください。

配色がやや独特ですね。左の写真は緑上赤前でやや右から、右の写真はそこから右列を 180°回転してやや左から撮ったものですが、赤の対面色が白、黄の対面色が橙であることが分かります。私はこのパズルに凝った 2014年ごろ、青クロス緑上赤前で解いていたので、白は奥面に持っていました。

ご覧の通り、2x2x2 として廻せます。歯車は右上を一つ廻せば他も全て連動して廻ります。
DavidGear歯車小回転.JPG

あれから 7年経って、いまだに図と文での解法サイトは 魔術方塊 以外には見かけません。中国語では"大卫齿轮魔方"、日本の漢字では”大衛”でダビデ,David、”歯輪”で歯車の意味になります。この簡体字をコピーして検索をかければ、中国の動画サイトの bilibili での解法を見つけることができますが、まぁ、普通に David gear tutorial で複数の動画サイトが見つかるので、それを見れば良いとも思います。私はまだどの動画も全く見ていません。

ちなみに、いま入手出来るのは稜の小片にステッカーが貼ってある V2 ばかりですが、意外にもこのパズルはそこにステッカーが貼ってある方が 2x2x2 部分の解法のヒントとなるので、解くのが容易になります。V2 になって易化したパズルは他に見たことがありません。私はせっかくその部分にステッカーが無いもの、現在の分類で言えば V1 を持っているので、そちらを紹介させていただこうと思います。

とにかく回転が軽くて廻しやすく、また歯車パズルにありがちな「膨大な回転量をこなさなくてはならない」ことがありません。難易度も充分に高く、楽しめます。WCA公式競技に新しいパズルを、という投票ができるのなら、私はこのパズルを推すでしょう。

惜しむらくは、現在入手が困難なことと、やや難しいこと。知らない状態で 2手廻されて渡されたら戻せないと思います。まぁ、それは 3x3x3 でも一緒かもしれません。

なんとかこのパズルを愛好する人が一人でも増えてくれれば、と長らく機会をうかがっていました。Crazy Gear が解決した今がその時期でしょう。お付き合いいただければ幸いです。

まずは今日はこのパズルの紹介だけで失礼します。

posted by じゅうべい at 17:32| Comment(0) | 歯車