2021年05月31日

Timur ギアスキューブの解法

は一隅向き替えなどが発生しなければ本来はあまり難しくないパズルです。

以下の、J式スキューブの回転記号、
Skewb_rotation.jpg
を流用すると、e, w, m とその反時計廻し("–"を本来は肩付きで表示しますが、このブログでは肩付きができないのでそのまま示します)は日常的に廻します。スキューブと違って、たとえば e– (反時計廻しに 120°、面一つ分)と e2 (時計廻しに 120°×2、面二つ分)は違うので注意しましょう。面に位置する歯車は同じ位置に移動しますが、隅の歯車の向きが 180°変わることになります。…それ以外の角度になってしまっていたら、前回の“一隅向き替え”を頑張って試してみましょう。

隅の歯車の向きについては、毎回隅向きを合わせていたら面倒くさくもなるので、終盤に合わせれば良いとも思いますが、向きが合っていなかったら e3 など 360°回転で合わせられます。この 360°回転が面倒ですね。歯車パズルの弱点だと思います。

基本的には n, s, o、そして奥下の a (上図では示していません)は廻しません。「構造上、廻せない」とも言えますが、実は g は廻します。n, s 隅を左手の親指・中指でホールドして、右手親指を E面(右面)の歯車、右手中指を N面(奥面)の歯車に当てながら外側に捻ることで g回転は実現できます。白面歯車は位置を変えず、底面にあった黄面歯車が右面に上がってきます。
TimurGear_g回転1.JPG TimurGear_g回転2.JPG
…右側の写真は右手の指が変わっていますね。右手親指を底面、人差し指を右面に当てて回すとこの指になります。どちらでも廻せますよ。手順の流れでは親指を右面に当てて廻しそうですが、それも好き好きでしょう。

もちろん、これは z y 持ち替えでの w なのですが、持ち替えずに廻すことで手間と混乱を減らすことができます。

まずは辺上にある小三角、稜(りょう)と読んでいますが、それを合わせます。これが全ての指標となります。灰色に着色されたものを合わせましょう。
TimurGear1稜e.jpgTimurGear1稜w.jpgTimurGear1稜mw.jpgTimurGear1稜m-e-.jpgTimurGear1稜m-w.jpg
左から順に、e, w, m w, m– e–, m– w で稜が合います。

稜が合った面を下に持ち替え、次は側面の稜を e, e–, w, w– で合わせます。多くても三回の合わせ作業で全ての稜が揃います。

隅向きが面と合っていないところがあったら e3 などの 360°回転で合わせてしまいましょう。稜が揃っていれば隅の歯車の色もその稜の色と合うはずです。合っていない場合は四隅ひねり一隅ひねりを駆使して合わせましょう。

面歯車は Six Spot CubeIvy Cube楓葉球Yeet Ball)と同様に合わせられます。以下の図では分かりやすさのために、白面を薄い灰色で着色しています。

基本的にどれも Y交換子(Sledge Hammer)か、それに共役(セットアップ)を加えたものになります。交換子や共役という用語(元々は数学の群論の用語)については島内先生の本をぜひご覧ください。

三面正時計:e w– e– w
TimurGear2面_正時計.jpg

三面反時計:w– e w e–
TimurGear2面_反時計.jpg

右列三巡 上を右:m– (e w– e– w) m
TimurGear2面_右列三巡.jpg

左列三巡 上を左:g (e w– e– w) g–
TimurGear2面_左列三巡.jpg

面歯車の三面交換だっと思ったら隅歯車の周囲三面だったりして素直に合わせられない場合があります。あきらめて一面を崩しましょう。そのような場合はたいてい単純な正時計・反時計合わせでは合わないので、列三巡手順を用いましょう。これも、右列三巡は上下をひっくり返しても左列系にはなりません。移動方向が逆になるだけです。あきらめて両方の手順を覚えましょう。中間部分は三面正時計に揃えたので把握しやすいと思います。

ここまで揃ったら隅の小三角の位置と向きを合わせるだけになります。この小三角は、対角交換の移動しか起こり得ません。

まず、向きはともかく、小三角の位置が合っているのかどうかを確認します。位置合わせが必要であれば、その移動方向が上面の前⇔奥、下面の左⇔右になるように持ち替えます。

対角交換_下奥を下:(e w– e– w)^3
TimurGear3小三角_対角下奥を下.jpg
合っている小三角が上面に来るように持ち替えて廻しましょう。

対角交換_向き替えなし:g (e w– e– w)^3 g–
TimurGear3小三角_対角向き替えなし.jpg
向き替えがない対角交換の場合はこの手順で。

向き替え_下前を下:(e w– e– w)^3 g (e w– e– w)^3 g–
TimurGear3小三角_左右隅前を下.jpg
対角交換を二回廻せば位置は元に戻ります。ひねりのみを実現するにはこれが一番手順は短そうに感じています。

e w– e– w だけでも歯車がロックしたり、一隅捻りが発生したり、と危険に満ちていて、それを三回繰り返すなどは大変な作業にはなりますが已むを得ません。右上・左上の隅歯車の向きを意識しましょう。普通の場合は前半の e w– で右上と左上の両方の隅歯車が稜を上にした向きになり、後半の e– w でそれが戻ってくるということを常に意識して廻しているしかなさそうです。さらに g, g– を廻した後は左上の隅歯車の向きが右上の隅歯車の向きと逆になります。この辺も慣れるしかありませんね。

小三角が三隅捻られていたらこの向き替え手順を二回廻さなくてはなりません。26x2 = 52手、長いですね。頑張りましょう。

ネタさえ分かってしまえば、解く難しさはありません。カラカラと気持ちよく廻ってくれますし、キューブ系パズルに無縁な方に適当に廻してもらって、廻す気持ちよさを味わってもらったあと、ひょいひょいと復元してみせたりするのも良いでしょう。

ネタにあふれたパズルではありますが、気持ちよく廻せるのはそれだけで素晴らしいと思います。残念ながら tribox では先週で品切れになってしまいましたが、また入荷してくれることを祈っています。

posted by じゅうべい at 11:43| Comment(0) | 歯車

2021年05月25日

Timur ギアスキューブ、一隅向き替えできました!

の復旧”不可”状態の一隅向き替え、ついに方法が分かりました。

以下の、J式スキューブの回転記号、
Skewb_rotation.jpg

で、e と w、もしかしたら奥下の a も多少廻した方がいいかもしれません、まとも?な四隅ズラしは隅を一面替える 120°回転の半分、60°廻します。そのとき、面の歯車は 1歯、45°廻ります。その半分、面の歯車なら歯と歯の間、0.5歯、隅の回転量で言えばそこから少し戻すくらい、45°くらいでしょうか?その時点でおかしい気もしますが、廻します。
Timur05a三隅少し捻り.JPG

この写真では e, w, a 隅を時計回りに廻しています。ですので、前下隅も m の時計廻しします。
Timur05b三隅捻り前廻少.JPG Timur05c三隅捻り前廻多.JPG
前下隅が廻りきるラスト1歯くらいまできたところで e, w, a 隅を戻す方向に廻すことでアシストしながら前下隅を廻しきります。最後、カチッとした、ズレた手応えが感じられたら成功しています。そうでない場合は戻してやり直してください。

Timur05d前隅ズレ稜合わせ.JPG
ご覧ください。m 回転で前上・右下・左下の三つの小三角の位置はきちんと隅に収まりました。120°回転です。ですので、前下隅は面が底面を向かず、斜めを向くはずなのにきっちり収まってしまっています。

きちんと m- 回転で戻すと小三角も稜も合っているのに前下隅だけズレている状態となりました。
Timur05e前隅ズレアップ.JPG

カチッと言う直前の状況を拡大してみました。コアの隙間が広がっているのが分かるでしょうか?ちょっと難しいですね。申し訳ありません。
Timur05f前隅ズレ開コアアップ.JPG

ということで、前下隅を反時計60°捻りしたかったら、e, w, a 隅を時計回りに少しズラして前下隅を時計回りに m 回転しながら、最後に e, w, a 隅を戻しながらアシストすることで実現できます。時計廻ししたかったら残りの三隅は反時計回りに少しズラして前下隅を m- の反時計方向に回しながら最後にアシストします。

逆に言えば、油断して e w- e- w m なんて廻していたら日常的にこの一隅捻りは発生しておかしくありません。というか、私も説明用に手順を再確認している最中に発生させました。本当にちょっとしたことで起こります。

一隅捻りが発生してしまって、上記手順をうまく実行できない場合は、あきらめて隅歯車を抜いて差し戻しましょう。壊してしまったり、動かせなくなって捨てられてしまうのはちょっと惜しいパズルだと思います。

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posted by じゅうべい at 15:29| Comment(0) | 歯車

2021年05月24日

Timur Gear Skewb、無理はできなくて

の復旧”不可”状態についてですが…、再現できなくなりました。

シリコンスプレーを塗布して引っかかりにくくなったのと、気をつけて廻すようになったのもあるでしょう。無茶をしなくなりました。自分ではできなくなったので、妻にやってもらったら「ああ、いまギチギチ言わせて無理に廻している」というのが感じられ、見事に二隅を復旧不可能な向きにしてくれましたが、その”無理に廻す”がどうにも再現できませんでした。

以下の、J式スキューブの回転記号、
Skewb_rotation.jpg
で言えば、m のあとに w- を廻すときに発生しそうですが、どのくらいの状態でどう無茶をすればいいのか分からず、コアがギチギチ言っているのを見ていると「割れたらどうしよう」と恐ろしくなって無理に廻せなくなりました。

ちなみに、単に稜と歯車の向きが異なるだけでは“復旧不可能”状態ではありません。
Timur03_e2y.JPG
上白前緑右赤から e2 して y 持ち替えしただけの状態です。上面手前の二稜は青、前上の歯車は赤が上を向いています。ただ、これは問題がない状態です。

この Timur Gear Skewb は解法手順として六面の稜を全て揃えることから始まります。稜の色が揃っていないときの歯車の色は、向きが合っているかどうか判定できません。いえ、達人は判断できてしまうかもしれませんが、普通の人は無理する必要はないでしょう。

また、四つの歯車が全て同方向に向き替えをしていたら、それもまた復旧可能です。このことについては TORIBストアのレビューで さかいさんも仰っていますね。
Timur04_四歯車60°aemw.JPG
上面の稜は全て黄色、やや分かりにくくて申し訳ありませんが、前面の稜は全て橙、右面の稜は全て青、揃っています。このときに前歯車は本来は上黄・右青・前橙を向いていなくてはいけません。

すわ、崩壊状態か?とも思われますが、
Timur04a四歯車60°.JPG
歯車を四つとも同じ向きに二分の一回転、60°向きを替えることは可能です。多少慣れが必要ですが、奥から順にやると良いと思います。奥下→右上→前下、となんとなく捻っておき、それに従う感じで左上も捻られてきてくれていたら丁度 60°廻った位置に全ての歯車の向きを揃えます。これならこのパズルに無理をかけることなく廻せるので、正規の廻し方と言えるでしょう。

もちろん、この状態から普通に廻すことができます。
Timur04b四歯車60°e-05.JPG Timur04c四歯車60°e-1.JPG
左が e -0.5、右上を反時計回りに 60°、右がさらに 120°まで廻した状態です。

その後、いろいろ試してみました。奥下・前下だけ捻って右上・左上をそのままで廻せないか?奥下・右上・前下を捻って左上だけそのまま廻せないか?などといろいろやりましたが、無理なく廻すのは難しそうです。どうしても四隅廻ってしまいますね。

ですので、“三隅が異様な向きに捻られている”は本来はあり得ません。そこからこの四隅向き替えをすれば、最低限二隅は揃います。

ちょっとだけ m回転して w を無理矢理廻せばコアが浮き上がる感じでひしゃげてきます。このパズルに慣れていない頃はきちんとした位置に至る前に、もしくは行きすぎてから別の軸を廻してしまうことが往々にしてあり、それが”ジャムった状態”を引き起こしてしまうようです。廻している軸の歯車面がちゃんと上を向く、もしくはちょうど稜を上に向ける角度にし、確認してから次の軸を廻すようにすればトラブルは軽減されると思います。

ちなみに、どうしても直せない向きの隅の歯車は引き抜いて向きを合わせて戻すことで復旧できます。ネジ止めではないので気軽にできます。ジャムってどうにも廻せないときにも有効な解決法となります。もちろんこのパズルを解く上での正当な対応ではありませんが、3x3x3 でもポップしてしまったら填め直すしか有りませんね。それと同様に対応するので良いと、今は考えています。

解法手順についてはまた次回に。

posted by じゅうべい at 13:05| Comment(0) | 歯車