さて、傀儡1に続いて、傀儡魔方2号 Cubing Classroom Puppet Two
について紹介したいと思います。
右上前が分割されて、中層が三軸とも廻せるようになり、パズル性が大きく上がったか、と期待しなくもなかったのですが…。
傀儡1では解けなかった回転制限の状況が解除されるかと言えばそうでもありません。回転制限は平角同士の相互作用によるものなので、右上前だけ分割しても殆んど変わりません。「あれ?これはおかしいぞ?傀儡1ではありえなかった形だ」ということにも遭遇したので、何も変わらないわけではありませんが…。
このパズルの難点は”廻しにくい”、これに尽きます。右手で廻しながら左の指で中列を押さえておかなくてはなりません。もしくは、右手で二列同時廻しを意識しないといけません。この複雑なパズルで”廻しにくい”のは致命的と言えるでしょう。
なので、世間の解法は 傀儡魔方[復の右]原教程 も含めて、右上前を揃えて傀儡1にしてしまい、あとは傀儡1と同様に解く、というものばかりです。多分割を 3x3x3 として解くのと同様の、reduction との表現がよく見られます。その際、中列が動くと廻しにくいので、揃えた右上前隅にテープを貼ってしまう動画も見受けられました。私も同様にしています。
つまりは右上前隅が揃えられたら、もう傀儡2も解けるということですね。
配色が変わっているのでご注意を。傀儡2では黄・青面の他に、赤面ではなく橙面が分割されています。小角が見える向きに持つと、前面が青のときに、傀儡1は上面が黄、右面が赤ですが、この傀儡2は上面が橙、右面が黄、となります。慣れている方ほど、最後の小角合わせでうっかりしそうなので、注意が必要です。
回転記号は以下の J式を用い、"/" のあとに WCA表記(t→U, e→R, s→F)を併記します。
文字だけなら時計廻しに 90°回転、反時計90°廻しは t- のように "-" を(本来は右肩付き)で、180°回転は t2 のように "2" を(これまた本来は右肩付き)で添えることで示します。面を示す場合は大文字で表記します。
ただ、このパズルでは中列を廻さざるを得ません。島内先生は中列回転を認めておられず、私もできるだけ廻さないようにしてきたのですが、このパズルはどうしようもありません。そこで新たな回転記号を用意しました。
J式では回転は小文字で表します。WCA表記では上を前に下ろす中列回転は Middle Slice から M と表記されますが、S式およびJ式はキューブを地球儀に擬しているので、子午線の meridian による m とすることにしました。偶然一致しましたが、無理に変える必要もないでしょう。J式のスキューブやメガミンクスでは m回転が存在しますが、形状が異なるので大目に見てください。
横方向は赤道と考え、地球の回転方向を時計回りとします。Equator Slice で WCA表記と語源まで同じになりますが、e 回転はすでに用いられているので q とします。子午線に直交する卯酉線(ぼうゆうせん)は定義上は必ずしも極を通る必要はありませんが、その英語名 Prime Vertical より、上から右に下ろす回転を p と定義します。
まずは、
前面3巡 上を右:
右面3巡 上を前:
(e t- e- q)(e t e- q-) / (R U' R' E)(R U R' E')
中列移動の際の中心、橙・青・黄の位置を常に意識しておきましょう。よけておいて手順を廻して戻すことも普通にできるので、それだけに混乱しないようにしたいものです。まずは前右を合わせてしまうのが良いでしょう。
右面3巡 上を前:
(s- t s q-)(s- t- s q) / (F' U F E')(F' U' F E)
単なる 前面3巡 上を右 の対称手順ですが、こちらも用意しておくと持ち替えせずに位置を合わせられますね。
前上反転:
(m t)^3 (t m-)^3 t2 / (M U)x3 (U M')x3 U2
対称手順を用意すれば前右も右上も反転させることができますが、どうも廻しにくく感じました。これは持ち替えて、m回転だけ用いるので良さそうに思います。
まぁ、気が向いたらぜひお試しください。傀儡1が解ける方なら、試しにいじってみてバラバラにしてしまっても、問題なく解けると思います。