2020年09月02日

Skewb Diamond の解法

さて、スキューブダイヤモンド

SkewbDiamond.JPG

の解法です。スキューブのように持つとすると向きは
Diamond_Photo.JPGDiamond.jpg
となりますね。回転記号もスキューブと同様に J式で
Diamond_notation.jpg
とさせていただきます。n は上段背面、g は下段右面、o は下段右面、a は、図には描けていませんが、下段背面を時計回りに回すものとします。J式では反時計廻しは本来は上付きの"−"を右肩につけますが、このブログサイトでは対応してくれていないので、無理せず "-" を回転記号に付記します。他の記号形態における" ' "(プライム記号)と同等と思ってください。

時計廻し・反時計廻しとも 120°回転させるパズルの特性上、180°回転はありえません。

この記号表記は上段時計回り→下段時計回りの順に、
上段:e(east)→n(north)→w(west)→s(south)
下段:g(艮,gon = 東北)→a(十二支の始まりをアルファベットの始まりで代用)→o(坤, kon = 南西)→m(巳, mi) としたメガミンクス用の記号を流用したものですが、他のサイトと照らし合わせると、

立方体の迷宮 :e→R, n→U, w→L, s→F, g→r, a→B, o→l, m→D
Kemi さんのサイト :e→R, n→B, w→L, s→U, g→r, a→D, o→l, m→F
Jaap氏のサイト :e→R, w→L, a→B, m→D
WCA式のスクランブル記号 :g→R, o→L, a→B, n→U

となります。立方体の迷宮と Jaap氏のサイトは同じです。Kemi さんのサイトは U, F, B, D が他のと異なっているので、参照する場合は注意が必要です。WCA式スクランブル記号はさらに違っていますけど、もはや已むを得ません。

J式表記に併記する場合は立方体の迷宮の記号にさせていただきます。a→B, n→U が WCA式スクランブル記号と一緒なので混乱を生みにくく感じました。

さて、スクランブルしたら頂点の向きと中心があっているものを探しましょう。無ければ一手で合うものを探しましょう。
Diamond#1_1stCenter.jpg
続いて左前の頂点を、向きを合わせて揃えます。
Diamond#2_1stCorner.jpg
a, g, m やその反時計廻しを駆使して位置を合わせ、もし向きが合っていなかったら、m g- m (D r- D)で合います。頂点の向きは 180°ズレていることしかありません。90°ズレがあったら分解が必要になります。

続いて、右面の中心を頂点と合わせます。
Diamond#3_2ndCenter.jpg
実際、既に合っていることも多いのですが、合ってなかったら g もしくは g- (r, r') で合います。

次に上前の中心体を合わせます。
Diamond#4_3rdCenter.jpg
入れたい中心を a, a- (B, B') を用いて下段右(G面)に配置して出迎えを実行します。
出迎え:a- で逃がし、e- で迎えに行き、 a で合わせて、e で戻る。

つまりは、入れたい中心を下段左(O面)に配置して e- a e (R' B R) で揃います。せっかくなので、丸暗記ではなく、理解して合わせた方が楽しいと思います。

立方体の迷宮では R D' R' D で入れていますが、これは 3x3x3 の S式(島内先生の本 参照)で言えば押しがけに当たります。もちろんこれで入れても構いません。

立方体の迷宮では次に右前の頂点を合わせていますが、いろいろ面倒です。左奥隅を合わせましょう。
Diamond#5_2ndCorner.jpg
既に合っているか、a・a- (B, B') で合います。

まれに合わせたいものが右前にあることがあり、その場合は g a (r B) もしくは g- a- (r' B') で合います。左上面の色が前下を向いている場合は g a、右下を向いている場合がやや分かりにくいのですが、g- a- で合います。なんとなく g a を廻してみて、合わなそうなのが a を廻す前に分かると思いますので、さらに g を廻して a- することでも合います。

まぁ、なんとなく合ってしまうものです。その際、右上の中心がズレた場合は g・g- (r, r') で戻しておきましょう。

これで左上面の完全一面が完成しました。持ち替えを、水平90°時計廻し→垂直180°廻しで完成した面を下背面(A面)になるようにします。
Diamond#6_Last2Corners'.jpg
中心体 4つは色を抜いて描きました。すさまじく崩れているように見えますが、実は前二隅を 180°回転させれば隅が全て揃うので、その二隅が左右の前に来るようにします。向きが分かりにくかったら、まずは下前の頂点の色(図では黄)に合うように前面を s・s- (F, F') で廻し、向きが合っている面が上に来るようにします。

前二隅 180°回転手順は、Jaap氏のものですが、
m w- a e a- w / D L' B R B' L

Kemi さんの手順、o s g s- g- o は合っている背面の中心体の位置をずらしてしまいます。
立方体の迷宮の B' L B - D' R' D R - B L' B' - R D R' D' はその二隅だけを廻すので素晴らしいのですが、手順が長いですね。偶然に、他の全てが揃ってしまったときだけ用いると良いでしょう。

中心体は下奥と下右は既に揃っているので、残りは、右上→前下→左上/前上→左下→奥上、の二組の三点移動を残すばかりです。

右上→前下→左上の時計移動
Diamond#7_LastCentersOCW.jpg
(g s- g s)^2 / (r F' r F)x2

右上→前下→左上の時計移動
Diamond#7_LastCentersCCW.jpg
(g- s g- s-)^2 / (r' F r' F')x2

三点を時計回転させたければ、初手は右下を時計廻し、次はギヤで噛み合う方向に上前面を反時計廻し、その後も右下は時計廻しを続け、上前面は時計→反時計→時計→反時計と交互に回転方向が変わります。反時計廻しの場合は初手が反時計廻し、上前面はギヤで噛み合う方向に時計廻しになるだけで、だいたいは三点時計移動と同様の手順となります。

右上⇔前下・左上⇔下奥交換
Diamond#7_LastCentersPara.jpg
(g s- g- s)^3 / (r F' r' F)x3

J式で普通に解いている場合には、下奥は既に揃っているので発生しません。ただ、スキューブダイヤモンドはなんとなく揃ってしまうことも多発するので、この四点交換だけ残して他は揃ってしまうことがあります。せっかくなので用意しておいても良いでしょう。

そういう点では、いきなり左前・右奥の二隅180°回転だけ残して揃ってしまうことがあります。これを一から合わせ直すのは大変です。魔術方塊 に載っていた手順ですが、

(e n- e- n)^2 (w s- w- s)^2 / (R U' R' U)x2 (L F' L' F)x2

で直ります。覚えておいて損はないでしょう。前二隅のみ交換の場合は上記の立方体の迷宮の手順でも構いませんが、この対角に隅回転手順を e- (手順) e で共役した

n- e- n (e n- e- n) (w s- w- s)^2 e / U' R' U - R U' R' U (L F' L' F)x2 R

が記憶量を増やさずに廻せるので良いでしょう。

なんとなく揃ってしまうことが多発するので、パズル愛好者にはあまり好まれないかもしれませんが、Face Turning Octahedron の練習には悪くない気がしています。

posted by じゅうべい at 16:24| Comment(0) | Octahedron

2020年09月01日

Skewb Diamond の紹介

しばらく前のことになりますが、北村暁さんが 1x1x1 の正八面体パズルを制作されていました。

機構としては同等で、実際に販売されているパズルとしては 4x4x4 Octahedron がありますね。…これも既に販売中止になっているとは残念です。The Cubicle ならまだ購入可能です。

444octahedron'.JPG

以前、Kemi さんの解法 を見て解きましたが、Kemi さんが仰るとおり、面倒だったのを覚えています。また気が向いたら廻してみるかもしれません。

正八面体パズルで名作とされるのは Face turn Octahedron ですね。こちらはまだ tribox で購入可能です。

FaceturnOctahedron.JPG

これは三層ありますが、二層で、そのぶん気軽に廻せるのが Skewb Diamond です。まさか、これまで販売終了とは驚きました。The Cubicle でも、Meffert製は品切れですが、LanLan製 は購入可能です。

SkewbDiamond.JPG

構造上はスキューブと同一ですが、面(中心体)が隅に、隅が中心体へと入れ替わっており、向きも 8隅3面だったのが 6隅4面となり、異なる解法で解いた方が良い、まるで別物のパズルとなっています。

開発年代については分かりませんでしたが、古くからあるパズルなのでしょう。解法が様々に示されています。

Meffert :スキューブと同様に解く解法。スキューブの面に相当する頂点の隅に隣接する四面(中心体)を合わせ、続いて隅を合わせていく。解法階層(ステップ)が多く、二隅回転手順は 16手と長め。

魔術方塊 :スキューブとそのアレンジのページに掲載されており、Meffert の解法のアレンジか、頂点の隅の廻りに中心を合わせてから残りの隅を合わせていく方針は同様。手順はややスタイリッシュだが、共役を多用していて、実際には長手順を用いることになる。

Kemi さんのサイト :図も見やすく手順も整っていてシンプルで、本来なら一番のお勧めとしたいところだが、隅合わせ→中心合わせと単純化した分、やや力業に。二隅合わせ手順で、揃えたはずの背面の中心がズレていってしまう。

立方体の迷宮 :上隅に中心体二つを合わせて出迎えで脇隅を揃えて完全一面を形成する。ここまでをうまく用いた場合、スピード競技であれば、おそらく一番速い解法と思われる。であるのに、三隅め合わせや一面完成後の二隅合わせ手順などが、丁寧なぶん手順が過剰に長く、手間が余計に掛かってしまう。

Jaap氏のサイト :短くて端的。二隅合わせ手順はここのものがベスト。記号だけで理解できるのならこの解法だけで充分だが、図がないので今ひとつ分かりにくい。

他にもいろいろあるでしょうけど、以上で充分でしょう。

私は、立方体の迷宮の解き方を省略したものに Jaap氏のサイトの二隅合わせ手順を採用し、最後の面合わせは Kemi さんの手順を用いて解いています。

R U R L R L' R U R L' R
を解いてみたところ、タイムは 1:37.45 でした。慣れれば 1分を切れるでしょう。まぁ、速解きに向いたメカニカルではありませんが。

J式での解き方の紹介はまた次回に。

posted by じゅうべい at 11:16| Comment(0) | Octahedron