2020年05月26日

初心者向け333解法5:世界一周と結び

ルービックキューブ (3x3x3) を初心者が解けるようになろうとして、完全一面が作れるようになったら、次の壁は中段入れでしょう。

完全一面.jpg
完成した一面を下に向け、
完全一面_下_赤前.jpg
凸と凸の間に側面の中心と合致する色の辺(二面体)を、”完全一面が崩れないように”入れれば、ニ層めまでが完成します。
ニ層め完成_赤前.jpg

完全一面を作ったあと、その反対面を完成させて後から中段を修正するツクダ式や、まず上面の隅向きをあわせる神楽坂式については後になって知りました。ここでは触れません。

いえ、島内先生のS式も完全一面の後に二面体の位置を合わせていくものですが、あまりに手間が掛かるので挫折しました。

そのS式で紹介されているのが世界一周です。


と、側面を右→奥→左→前と順に時計周りに90° づつ廻していき、上面を 180° 廻したあと、今度は逆順に、前→左→奥→右、と反時計回りに廻していきます。最後に再び上面を 180°廻して手順としては終了です。すると、

結び.jpg
他のすべての部分に全く影響せずに、前面右,前面上,奥面上の 3つの二面体だけが時計廻りに移動します。島内先生は”結び”と呼んでいました。

「ああ、これが手順なんだな」
と当時の私は素直に納得しました。側面回転より先に上面 180° 回転を先にすると移動が逆向きになるのも素晴らしかったです。

さらに、上面回転を 90° にすれば前面上の二面体の移動先を変えることが出来ました。時計周りに 90° 廻すと、
正三角結び.jpg
これは”正三角結び”と島内先生の本で呼ばれていました。

また、上面の回転を反時計方向 90° にすると、
鈍角結び.jpg
これは”鈍角結び”と島内先生の本で呼ばれています。

島内先生の新S式はこの結びと Z交換子(F R F' R' など、ここでは説明を省略します)だけで六面が完成できるとするもので、必要手順の少なさでは 8355法 を凌ぎます。

…ではありますが、当時の私が解くのに三日掛かったように、との小片をどこに移動させるか、非常な空間認識力と記憶力を必要とし、初心者に勧められる方法ではありません。

移動するものが極限的に少ないことから、最小手数競技 (fewest move challenge, FMC) に応用できそうでもありますが、3辺の移動に 10手も掛けていては現実的ではありません(先週の tribox Contest の優勝者の記録は完成までに 25手)。

数学的な理解には重要とは思いますが(島内先生は群論の数学者でしたし)、ルービックキューブを余暇を楽しむパズルとしてそこそこの手間とそこそこの時間で完成させるには向きません。

ということで、一般的に推奨されているのは中段入れ、前面上にある二面体を前面右に入れます。
中段入れ前.jpg
二面体の向きによっては右面の上から入れます。

中段入れ右.jpg

島内先生の本では”雑”に分類されており (p31)、多数の小片がやっためたらと移動しているので、とても用いる気になれなかったのですが、あるとき知り合いに教わってとても納得がいきました。上面は後から修正すればいいから、まずは中段を終わらせてしまおう、というものです。”必要がない部分の変化は気にしなくていい”、何か人生にも通じるものがありそうですね。

この入れ方について説明するつもりでしたが、今日は長くなってしまったのでこの辺で。また次回に。


posted by じゅうべい at 11:38| Comment(0) | 手順333