ルービックキューブ (3x3x3) で下二層まで完成させることができたら、いよいよ上面を揃えることになります。
ニ層めまでは初心者に説明しても、理論を「なんとなく、なんか分かった気がする」と言ってもらえることもあると思います。しかし、上面はどうにもなりません。手順を覚えてもらうしかありません。手順の正式な理解には数学的考察が必要になり、「解けたら嬉しい」という人を挫折に追い込みます。
「申し訳ないけど、手順を覚えて欲しい。慣れたらその内容を理解できるようになる、かもしれないから」と言うしかないでしょう。
さて、上面を合わせていく順序です。
島内先生の S式も J式の初心者向け解法でも、隅(三面体)の位置合わせ→隅(三面体)の向き合わせ→辺(二面体)の向き合わせ→辺(二面体)の位置合わせ、という順序を踏みます。
まず、二つの隅が並んだところ、3x3x3 でなら 隅-辺-隅の並びにおいて、上面色以外で隅に同じ色がある組み合わせを探します。世界配色で底面が青なら上面は緑になるので、緑以外の色、赤同士や橙同士などが隅の組み合わせでどちらにもあるものを探します。
例えば同じ色がが並んだ二つの隅の両方に含まれる場合、
この場合は黒(世界配色で白に相当)ですが、このようになっていてくれれば分かりやすいですね。
ですが、向きが揃っている必要はないので、
この場合は赤ですが、このようになっていても構いません。
こんな感じでも大丈夫です。
合っている色を側面の中心色と合わせます。上の図は全て合っていますが、
このような場合は、図の矢印に示すように上面を回して合わせます。
その隅の組み合わせが側面の中心色と合ったものを右面または左面にくるように持ち替えましょう。右面が合っている時には左面も合っています。
このとき、前面が黒、その背面色が黄、右面色が赤、左面色が橙として、
1. 右前上隅に前面色が含まれ、なおかつ左前上隅にも同様に前面色が含まれる。
たとえば
2. 右前上隅に前面色が含まれるが、左前上隅には前面色が含まれない。
たとえば
3. 右前上隅に前面色が含まれないが、左前上隅には前面色が含まれる。
たとえば
4. 右前上隅にも左前上隅にも、前面色が含まれない。
たとえば
の 4通りになります。
1. のときには既に隅位置は合っているので、ここでやることはありません。次の隅向き替えに進みます。
2. または 3. のときには前面色まで合っている組み合わせが右面にくるように持ち替えて




という手順を廻します。Niklas(ニクラス)と呼ばれています。スウェーデン人の Lars Petrus が1980年代初頭にいろいろ手順を開発している時に命名した手順の一つです。手順について島内先生は David Singmaster が 1979年に著した "Note on Rubik's Magic Cube"から引用していました。…その本も買ってはみましたが、全然分からなかったことを覚えています。
最初の右面反時計廻しの時、人差し指を右奥下隅に置いておくと、右面を 90°廻した時にそのままの流れで上面を人差し指で廻せます。手を上面に添え直して廻すことは推奨されていません。流れで廻せた方がお得です。持ち替えると意識が分断されますし、「何やっていたっけ?」となりがちです。
上面を人差し指だけで廻せないようなルービックキューブを持っているようなら、今すぐ新しい物を買いましょう。tribox で買うことをお勧めします。350円から 9000円まで様々なものが取りそろえられていますね。私は知り合いに500円の QiYi QiHang を何人にあげたか数え切れません。安いようですが、問題なく廻せるのでお勧めします。
さて、右面を手前に、続いて上面を時計廻しした後は左面を手前→上面を反時計回りに廻します。左手の人差し指も同様に左奥下隅にあてがって廻して、90°廻ったところでその人差し指で上面を反時計廻しします。
残りの 4手順は右面も左面も手前から奥に廻すところが違うだけです。私は自分でもどう廻しているか意識していませんでしたが、どうも右も左も薬指で奥下隅を持って廻し、待ち構えている人差し指で上面を廻しているようです。まぁ、初心者の頃はあまり廻し方を過剰に気にする必要はないでしょう。気になる人は上級者の動画を見るか、上級者が集う会合に出向いて習ってみてください。…CFOP を習うことになると思いますが。
話がだいぶ逸れました。
4. 右前上隅にも左前上隅にも、前面色が含まれない
場合には、上記手順(Niklas)を廻すと一組の隅が側面の中心色とだけでなく、前面の中心色とも色が合うようになります。上面を廻して位置を合わせると上記の 2. にできるので、もう一度 Niklas を廻してください。
「上記手順の最後の上面廻しは不要なのでは?」その通りです。ルービックキューブを完成させるだけなら最後を省いた 7手で充分です。
島内先生も David Singmaster も数学者なので、ルービックキューブを数学の群論で考察する上で、隅は必ず 3点を巡回するように移動させます。いえ、4点を 2点づつ交換する手順はあります。ですが、他に影響を与えない 2点交換手順は存在しません。手順 Niklas の良さは「移動する 3隅以外は全く移動せず、向きも変わらない」点にあります。
それに影響を受けてしまったのもあり、J式の隅移動手順は 3点巡回か 4点の2点づつ交換かのどちらかです。もはや変えられません。
あと、元になった手順の関係もありますが、最後の上面廻しがあった方が手順が対称的で覚えやすくなっている気がします。
ともあれ、ルービックキューブ完成のためにはいくつかの手順を覚えることは避けられません。覚えるまで廻し込むのでも、語呂合わせでも、手段は構わないので、どうにかして手順を覚えてください。