ルービッククロックの解法について、Stefan Pochmann氏のサイトを見つけてしまいました。これを見ていただければ充分でしょう。何も言うことはありません。ボタンを押す指についてまで言及されています。日本語ではありませんが、図を見れば問題なく理解できます。
ただ、せっかく絵まで作ってみたので一通り説明してみようと思います。…文字盤のKは読めませんね、すみません。
Pochmann氏も言っていますが、表面・裏面のどちらから解いても構いません。私はスクランブルを表→裏とするので、裏から解いて表で終わると、そのままの面でまたスクランブルができるのが便利と感じています。
中央以外の十字をなす時計を辺、ダイヤルと接している時計を隅と呼びます。他のキューブ系パズルと一緒ですね。
解く順番は、裏面の辺→表面の辺→表面の隅、の順になります。Pochmann氏も言っている通り、裏→表の向き替え(WCAの規則ではy2)は左→右もしくはその逆で、Kが上にある状態を変えてはいけません。手前を奥に持っていくように向き替えをしてはいけない、ということですね。
Jaap氏のサイトや立方体の迷宮では解きながら水平方向に回転させていきますが、これもPochmann氏も言っている通り、推奨されません。基本的に、持ち替えは面の裏返しのときのみです。記録を出している動画などでも競技者はそうしていますね。
Pochmann氏はボタンの押し方についても言及しています。押し込みは親指、押し上げは上二つは中指、下二つは薬指、人差し指はダイヤルを廻すのに使います。私は上二つのダイヤルは人差し指で廻しますが、下二つのダイヤルには親指を使っています。この辺は好みもあるでしょうね。
csTimer が出してくれたスクランブルを例として解いてみましょう。
UR2- DR3- DL2+ UL5- U3- R6+ D3- L1- ALL5+ y2 U2+ R2- D1- L5+ ALL1+ UR DR DL
WCA の規則にもありますが、全部のピンが下がった状態から、指定されたピンを押し上げてそれに隣接するダイヤルを廻してまたピンを押し下げることを繰り返します。
左が表、右が裏になります。ボタンは黒が上がっていて、白が下がっている状態を示します。まず裏の辺から解きます。
どこでもいいので、中央と辺の針の向きを合わせます。上辺が 1つずらすだけで合いますね。その場合は上が回らないピンの配置、右下か左下、もしくはその両方を押し上げ、その他のピンは下がった状態にしてダイヤルを廻します。
この場合は左辺は動かしたくないので右下だけ押し上げて右下ダイヤルを +1廻します。+ が時計方向、- が反時計方向を意味するのはWCAの規則の通りです。すると以下の通りになります。
廻したダイヤルを点線で表記しました。
次は中央と上辺を同時に左辺と合わせたいですね。右上もしくは右上と右下のボタンを押し上げて +1廻します。この場合は下辺も廻ってくれた方がその次に廻す量が少なくてすみます。右の上下のボタンを押して廻すことにしました。すると以下の通りになります。
中央と上辺・左辺の針の向きが合いましたね。この形は特徴的なので覚えておきましょう。このとき、揃っている三つの時計の中央のボタンを押し上げ、残りのボタンは下げ、残りの辺のどちらかと合わせます。この場合は下辺がダイヤルの量が少なくて楽ですね。UL -2 を実行します。
揃っている四つの時計の間のボタン、左上と左下を押し上げて -4 廻すと、残った右辺と針が合いますね。
全部のピンを押し上げてダイヤルを廻して全ての辺の針を 12時に合わせます。
このとき、実はボタン 3つでも、対角の 2つでも、辺の全ての針を動かすことができます。つまり、隅の針位置をコントロールできるのですが、反転して表面の辺を合わせている間に隅の針は再びズレてしまいます。インスペクションで完全に読み切れるのならともかく、ここは無理せずに全てのピンを押し上げて廻すよう、体で覚えておいた方がいいでしょう。ピンが上がっていないダイヤルを廻してしまうとタイムロスにつながります。
ここで反転(y2)すると、表面は以下の通りになっています。
見比べていただければ分かりますが、辺に関しては初期状態の表面と変わっていません。これが、表裏のどちらから解いても変わらない、という理由です。
こちらも同様に辺を解いていきます。左辺→下辺→上辺→右辺と解いていくと、ダイヤル回転量が少なめで良さそうです。
UR -1, UL -1, DL +4, L +1、ですね。
さて、辺が全て合ったら、こちらの面は辺を一旦 12時に合わせる必要はありません。すぐに隅を合わせていきます。
合わせる隅は右上から反時計回りなど、決めておいた方が迷わずにすんで速いかもしれません。ただ、私はダイヤル回転量ができるだけ少なくなるよう心懸けています。指が遅いので、考えた方がダイヤルを多く回転させるより時間消費を少なくできます。これは人それぞれでしょう。
ですのでこの場合、まずは左下隅から合わせます。合わせる隅に隣接するボタンだけ押し下げ、残りは全て上げて、上がっているピンに隣接したダイヤルを廻します。この場合は UR DR UL -1 ですね。
次は左上と合わせますが、そのときその対角を動かしたくない場合は左上以外の 3つのピンを上げるのではなく、左上と右下が下がっていて右上と左下が下がっている状態で廻すことができます。この場合、UR DL -3 すると
次の右下合わせのダイヤル回転量が -6 から -3 に半減できました。…実戦ではなかなかここまで読めませんが、対角が同じ向きや近い方向を向いている場合は効果的ですので、使えるようになりたいものですね。
あとは右下→右上の順に合わせ、全ての針を 12時に向けて完成です。UR DL UL -3, DR DL UL +5, ALL +3 ですね。
こちらの面の隅が全て合えば裏面の隅も同時に揃ってくれます。ピンの上げ損ないがあると、表面が合っていても裏面がズレてしまったりもするので注意しましょう。
ルービッククロックはあまり工夫を凝らせないのが残念ですが、そのぶん気軽に廻せます。他のパズルに疲れた時の気分転換としても楽しめると思います。いい製品が増えて、もっと一般に普及してもらいたいものですね。