2020年01月24日

あなたもスクエア1で100秒を切れる!その1〜成形の名前

私はスクエア1が好きで、tiboxコンテストでの開催競技になる前から Calvin のスクエア1を持っていて、なんとなくいじっていました。WCAで唯一の変形種目、形がどんどん変わっていくのが楽しくて、無駄に「〜〜から・・ができる」という図を延々と作っていました。/直方体/サイトの樹形図を見た時には感動すると同時に「やられた」と思ったものでした。

そのスクエア1、今年最初の tribox コンテストで平均 57.852、一方で 333 は 56.732 でした。333 がいまだにものすごく遅くてお恥ずかしいこと限りないのですが、「333 に比べるとスクエア1は速い」と言えるかもしれません。スクエア1の方が記録がいい週すらあります。私の J式は意外と悪くないのかもしれません。

なんといっても、成形が好きなのが大きいですね。手順は Andrew K. Nelson のサイトに載っていますが(2010年のスクエア1世界記録保持者、2014年にも北米大陸記録を出しています)、手順を覚えるのが苦手な私がそんなものを覚えているはずがありません。”手順を覚えなくても無駄なく成形できる”方法を編み出しただけです。

どうも世間の人々は花びらを作ってから成形しているようですが、花は成形では 4層か 6層に位置し、そこに潜ってから上層に戻って来るのは無駄が多過ぎます。というか、私は素早く花びらが作れなかったので諦めて普通に成形するようになった経緯があります。私のやり方は上級者には無駄な知識かもしれませんが、成形で苦しんでいる人々の助けにはなるかもしれません。題して”あなたもスクエア1で100秒を切れる!”、上級者の人々は温い目で見守っていただけるとありがたいです。

その方法についてはまた次回に。まずは形を覚えましょう。形を覚えるには名前を付けるのが一番です。基本型については Jaap氏のサイトを元にしていますが、そこにないものは私が勝手に命名しました。

まずは基本の 8種類から。

Square.jpg

四角 (しかく・Square):もちろんこの形にするのが目的なので、基本図形ではありますが、上下とも四角でない時には殆んどが 5層以下と深海に潜っていることを覚悟する必要があります。成形後は縦横が水平垂直になるようにしますが、成形中は縦回転ラインが垂直になるように統一しました。

Kite.jpg

凧 (たこ・Kite):欧米人が遊ぶカイトはもうちょっと違った形の気もしますが…。むしろ日本の奴凧に近い気すらします。凧−凧が両方とも上を向いている状態(こう氏の /直方体/ サイトの樹形図 にもあるように、成形中は下面も上から透視した向きを基本とします)で "/" すれば成形が完了します。また凧との組み合わせは安全なものが多く、出現するとホッとします。

Fist.jpgPicture_Fist.JPG

拳 (こぶし・Fist):これまた基本図形、左右拳(この手系統の向きだけ、下段は下から見ます。一人で両手を使って真似をできるのが重要なのでご容赦を)、つまり上下から見たら形が重なる状態で片方の拳の中指をもう片方の親指と人差し指の窪みに向けて "/" すると凧−凧になります。その位置関係さえ揃っていたら拳の中指が上下左右どちらを向いていても構いません(図から 30° 右にずらした”ずらし拳”にしてはいけません)。左右拳が 2層である一方、同側拳(中指の向きを揃えた上下で重ならない)はなんと6層、さらに抜け出しにくく、発生したら泥沼となります。拳の左右には気をつけましょう。

Palm.jpgPicture_Palm.JPG

掌 (てのひら・Palm, Paw):世間では Pawn(チェスの”歩”に当たる駒)と言われることが多いのですが、Jaap氏のサイトをご覧ください。Paw になっています。Cube Zone で間違ったのが世間で流布してしまったものと思われます。しかし、チェスの駒のポーンに左右はありません。まん丸です。今後は Pawn ではなく、Paw でお願いしたいと思います。…Paw が今日まで”掌”と信じていました。掌は Palm ですね。わざわざ自分の右掌を左手でシャッターを押して写真を撮ったのですが、お恥ずかしい限りです。ただ、Paw (犬猫の前足)って右左が分かりにくいですよね。掌だったら自分で確認できます。左縁の真っ直ぐな線が手刀、中央の線が小指と薬指を分ける線(小指線と呼んでいます)、右上の出っ張りを人差し指・中指・薬指、右の出っ張りを親指、手前を手首と見ることができれば、左右や向きが把握しやすくなると思います。左右掌は形を上下で合わせて小指線で廻せば左右拳になります。一方で同側掌は私の成形手順中、唯一花びらを経由する手順となります。

Shield.jpg

盾 (たて・Shield):ロールプレーイングゲームをやる方やファンタジーの世界に馴染みがある方はこの形(を右に15° 傾けた形)をよくご存じのことでしょう。剣士が持つ盾ですね。…ここまでの説明が長くなったので、以下は簡略に紹介します。

Scallop.jpgPicture_Scallop.jpg

帆立 (ほたて・Scallop):帆立貝です。著作権が怖くて、ネットにある写真を元に自分で描き直しました。小片4つが並んでいる方を上とします。

Barrel.jpg

樽 (たる・Barrel):ワインかビールの樽でしょうか?この向きを縦とします。樽−樽を縦横で "/" すると凧−凧になります。

Mushroom.jpg

茸 (きのこ・Mashroom):慣れればマッシュルームと思えます。頑張りましょう。左右どちらかの傾きしかありません(上下で計 4通り)。頑固で扱いにくいのですが、逆に発生しにくいともいえます。

続いて大片 5 小片 2 の組み合わせ、3種類しかありません。これらが発生した時には必ず相手は大片 3 小片 6 のグループのものとなります。以後は私の勝手な命名になりますが、どうぞご容赦を。

Maple.jpg
楓 (かえで・Maple):見ようと思えば楓に見えるものです。小片の向かいが上、小片が下と思ってください。

Arrow.jpg

矢印 (やじるし・Arrow):真上も真横も向くことがありませんが、図の左斜め上が矢の先端(鏃)です。そこが指し示す向きが重要になるので覚えてください。

Frog.jpgPicture_Frog.jpg


蛙 (かえる・Frog):左向きの蛙に見えませんか?絵も頑張って描いてみました。茸以上に頑固で左右のどちらか向きしかありません。

続いて、これらの相方の大片 3 小片 6 のグループです。

Fan.jpg

扇 (おうぎ・Fan):四角の一角が欠けたものですが、小片 4つが並んだ対称形が綺麗と思いました。

Bullet.jpg

弾 (たま・Bullet):L-perm の最中に出現し、方向をくいっと曲げるのが可愛らしいですね。

KiteUpperBroken.jpg

凧上欠 (たこうえかけ・Kite Upper Broken):凧の上部が欠けて小片になったものです。これと楓の組み合わせの出現率は成形の三分の一にも達します(詳細は後述)。絶対に覚えましょう。

KiteLowerBroken.jpg


凧下欠 (たこしたかけ・Kite Lower Broken):こちらは凧の下部が欠けて小片になったものです。向きの把握がしにくく、矢印との組み合わせは多数発生するのに、この図から 30° 傾けないといけないのがなおさら分かりにくく泣かせてくれます。慣れましょう。

Riceball.jpg

握飯 (あくはん・にぎりめし・Rice Ball):”おにぎり”ですが漢字で統一した方が便利かなと思いました。

Helmet.jpg

兜 (かぶと・Helmet):”ダー○ベイダー”の兜を意識しました。中央の大片が割れているのは強度が弱体化しているので”保安帽”と名づけました(後述)。

BarrelBroken.jpg

樽欠 (たるかけ・Barrel Broken):樽が欠けてしまっています。この向きを縦とします。

あとは花びらとその組み合わせ、大片 2 小片 6 の組み合わせです。

Flower.jpg

花 (はな・Flower):日本語サイトでは”花びらを作る”という表現をよく見る一方で、海外サイトでは star になっています。ですが、star はメガミンクスの底に作るものと同じ名称になるので避けることにしました。

Spindle.jpg

紡錘 (ぼうすい・Spindle):”紡錘形”という名称で知っていますが、紡錘そのものはあまり見る機会がありませんね。

SoftHelmet.jpg

保安帽 (ほあんぼう・Soft Helmet):ダー○ベイダーの兜よりは強度が劣る、ということにさせてください。兜と同じ傾きで描いてしまいましたが、もちろん左右対称の向きにして "/" で左右掌を作るのが正解です。

Lighbulb.jpg

電球 (でんきゅう・Light Bulb):上から吊るす向きに描いた方が良かったかな?

これらの左右対称形は 4層で悪くないのですが、以下の左右非対称の二つが難物ですね。

RotaryLight.jpg

回転燈 (かいてんとう・Rotary Light):社会人になって来たこの土地では、食堂や喫茶店が営業中を示すために回転燈が設置されていて当時は驚いたものでした。

Bobcut.jpg

禿童 (おかっぱ・Bob Cut):命名にだいぶ無茶があるのは百も承知。頑張ればそう見えなくもありません。

長くなりました。図も多いので、アップロードできるか不安ですが、今日はこの辺で。


posted by じゅうべい at 14:54| Comment(0) | Square-1